電験三種の機械は4科目の中で最も勉強内容が難しく、本試験の出題レベルも高いです。科目合格性となっている電験三種の4科目の中で、一番最後に勉強したという人も多いのではないでしょうか。
確かに勉強内容は難しいのですが、それを事前に認識していて、それなりの覚悟と準備と計画を持っていれば攻略できない科目ではありません。
ここでは、私が初学者に受検指南をするとしたらという視点で機械科目攻略についてアドバイスをしていきます。電験の勉強は難解で概念がつかみにくい専門用語が頻出しますので、まずは用語集を用意することが必要です。
ちなみに私が何度も何度も参照した用語集はこちら。電験三種の受験を通しての私の戦友です。
機械の合格率
2012年度 | 機械 | 10.0% |
2013年度 | 機械 | 17.1% |
2014年度 | 機械 | 16.3% |
2015年度 | 機械 | 10.7% |
2016年度 | 機械 | 24.3% |
ここ5年の合格率は概ね10%~20%となっているようです。合格率が平均して10パーセント台っていうのはまぁ難しめの試験です。
だけど、穴を作らずきちんと対策したら受からないレベルの試験ではありません。
旧司法試験の合格率は2~3%だったらしいので、そんなレッド―オシャンに比べればまだ易しい方です。
機械の合格ライン
電験三種試験はどの科目合格ライン(得点ボーダー)は公表としては60%(60点)です。公表としてはそうですが、実際には得点調整が行われているようですね。実際自分が合格したときも、自己採点が58とかだった人も大量に受かっていました。
法的に電気主任技術者しかできない業務がある為、毎年一定数合格させるために得点調整をしてをしているのだと推察します。
ここで大事なことは、合格ラインが実態として1~2問分緩くなっているとしても、“苦手分野を作らないんだ”という気持ちは緩めないことです。
イメージとしてはどんな年でも80点を取れるくらいの実力になることを目標としてください。
機械の実際のボーダーライン
機械の勉強内容や出題レベルは他の科目に比べて難しく、例年60点を切ったところがボーダーラインになっているようです。
私が最初に受検した年も大変本試験が軟化した年で、自己採点40~45点の人が某巨大掲示板で合格を報告していました。
おススメ過去問題集
どんな試験でもまずは過去問分析から入るのが王道です。おすすめ過去問はこれ
左に問題、右に解答が書かれており、何度も解くのに適したレイアウトとなっています。
法規だけを受験する場合の過去問題集はこれがいいと思います。
15年分掲載されていますので、出題傾向や出題レベルなどを十分に分析できます。
私の過去問分析
・サイリスタとかパワーエレクトロニクスとか何のことなのかさっぱりわからない用語多いのは理論に似ているところがある。参考書選びを慎重にしないと、自分に合わない参考書で勉強すると大変苦労すると思う
・計算問題で7割正答を目指し、それ以外の正誤問題や空白埋め問題で7割~8割の正答を目指して合格するイメージ
・論理回路の問題は電気の周辺知識が全く活かされない分野なので、ゼロからの勉強になるのが不安。内容も難しそうなので深くは勉強しない可能性もある
・一見して10年スパンで過去問を分析をすると同じパターンの問題が数回出題されていそうだが、同じパターンに見えて実は違うという様な出題が結構ある。出題パターンの引き出しを多く持っている必要がありそう。
・とっつきにくそうなのはよくわかったのだが、自分が解きにくく勉強しにくいということは他の人も解きにくく勉強しにくいということ。結局上位10%に確実に入れるように繰り返し反復して実力つけていくのが王道
攻略方針
基本的には苦手分野を作らない
電験の試験はどれだけ簡単な問題をきちんと解答して、点数を合格ラインまで積み上げていけるかという勝負だと思っています。
数年に1度くらいの頻度で全く手が出ないレベルの非常に難しいB問題が出るようですし、A問題でも解説を見てもわからないレベルの問題が出ることがあります。
そういうところは本試験で捨てるしかないのですが、そこを捨てると他の問題をしっかり取らないと落ちる可能性が高まります。
しっかり取らなければならない他の分野の問題レベルは易問だったのに、その分野に対して苦手意識を感じていた為に勉強を途中で放棄しており、その易問も捨てざるを得なかったみたいな最悪な結果は絶対に避けねばなりません。
理解重視、最初から暗記に逃げない
先ほども書いた様に、暗記に偏重しても応用が利かなくなるし、理解に偏重しても勉強に時間がかかりすぎてしまい、得点力がつきません。
暗記と理解のバランスが重要だと思うのですが、まずは理解することを意識してください。理解できるに越したことはないのです。勉強を進めるうえで、つまづいたら
→他の参考書や用語集で調べてみる
→ネットで調べてみる
→会社や学校で聞ける人に聞いてみる
というところまでやってみて、それでもわからなければ最低限の公式と解答パターンを身に付けて、それ以上は深入りしなくて良いと思います。次のテーマの勉強に進んじゃって下さい。先を読み進めることで、つまづいた部分が理解できることは多々あります。
いろんな参考書やネットの解説を併用する
機械は勉強する内容のレベルが高い為、ある参考書では何度読んでもわからなかったところが、他の本の書き方だとわかったり、ネット上での解説を読むとわかったりということがあります。
下記の参考書や自分で選んだ参考書、そしてインターネットをよく参照して勉強を進めると良いと思います。
おススメ参考書
フルカラーで力が付く電験第3種 機械A to Z
初学者向けの本です。勉強を始めてすぐの頃は、まずは初学者向けにやさしく書かれた参考書を通読するのが王道の勉強法です。大学受験で例えると「○○の実況中継」の様な本ですね。これを最低2周は読みます。3周目は記憶すべき重要語句、公式、要点、表等を書き出しながら読むと良いと思います。
それが終わったら、より詳しく書かれたこちらを読みます。
電験第3種ニューこれだけシリーズ〈1〉これだけ機械
これだけというより、こんなにという本です。初学者向けの「フルカラーで力が付く電験第3種 機械A to Z」と著者が同じなのが、面白いですね。参考書を作るのが上手な人が作ると、何冊作っても名著になるようです。
おススメ問題集
まずはこちらがおススメ。
電験三種やエネルギー管理士関連で名著を連発している不動弘幸さんという方が著した問題集です。A問題対策にお勧め。この本を9割解けるくらいにマスターしたら、
へと進んで、応用段階の問題演習をするか、15年分の過去問(最低10年分)を解き始めるかして本試験レベルの対策をします。
余裕がある人はこれも一緒に勉強すると良いでしょう
正誤問題、空白問題だけを集めた問題集です。4科目どの試験に関しても私はこの本で集中的に勉強し、正誤問題、空白問題の解答力をつけてから計算問題の攻略に集中しました。結果としてはそれで正解でした。
勉強のコツ
まとめノートを作る
私はこのサイトの中で何度も言っていることなのですが、理解しにくい事項、常に忘れず頭に入れておくべき重要語句や公式等については、復習しやすいシステムを作ることが大事です。それがまとめノート作りです。
こういうと、「テキストに書いていることを何で自分で手書きするんだ。時間の無駄だし、面倒くさいよ。俺はやらない。」という意見を一定数聞きます。
私の会社の同僚もそうでした。そういう人が、一発で受かっているかというとそうでもなく、4年経っても受かっていないことを鑑みると、4年も勉強するほうが非効率ではないかと思ってしまいます。
まとめノートと言っても、教科書や参考書と同じレベルまで書き込む必要はありません。自分がページをめくったときに記憶のメンテナンスができるようにキーワードや公式、図や表を中心に簡易的に作ればそれで充分です。自分だけの受験虎の巻が作れます。
まとめノート作りのルール・ノートではなくルーズリーフで作る:後から追加しやすい様に
・B5ではなくA4サイズの大きなルーズリーフを使う:一目で見える情報が多い様に
・1テーマで1面又は見開きを使って2面までにまとめる:一目で関係する情報全てを見れる様に
・情報を盛り込み過ぎない:参考書と同じレベルまで情報を盛り込もうとすると時間がかかるし、それだったら参考書を読めばよいということになる
・図や、表、グラフを多用する:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
・図や表はルーズリーフの中央部分に貼り付けて周囲に余白を設ける:追加情報を書き込みやすくする為
・言葉を書き込み過ぎずキーワードで書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
・理解を助ける解説も簡潔に書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
電気機器のところはさぞかし後で書き込む情報が増えるだろうと思って、左右と下にかなりの余白を設けたのですが、結局貼った後は書き込まないまま本試験日を迎えました。でもこれでいいのだ。受かってるから。
直流発電機や直流電動機のところは、結構頭がこんがらがりそうになったので、こんな感じでパターンわけのまとめを作っって混同しないようにしました。上の図と下のグラフは別の参考書から持ってきたもので、勉強をしながら「これはまとめノートに取り入れたらもっと理解が進むぞ」と感じた資料はコピーしてどんどん貼り付けていました。
誘導電動機のところも内容が広くて複雑だったので、結構自分の書き込みを加えることで頭が整理できていました。
これも誘導電動機ですね。勉強を進めるごとに、過去問の反復回数が増えるごとに書き込み情報が増えていきました。
これも誘導電動機ですね。貼り付けたいけど、はみ出しそうな資料があればノリ付けしていました。
これは自動制御ですね。こんな感じで、自動制御のルールを頭に入れるとともに、解答パターンを整理していました。
これは照明ですね。ハロゲンランプとかナトリウム灯とか書かれても実物がイメージできなかった為に図が載っているこちらの資料をコピーして貼り付けていました。
これは電気化学の電池のところですね。頭を整理しして、似たものを混同しないようにこんなまとめを作っていました。
特に重要な公式を忘れない工夫をする
そして併せてお勧めしたいのが暗記カード作りです。これは覚えたつもりを無くし、通勤通学時間、始業前や休み時間等の細切れ時間で覚え直しをするときに抜群に役立ちます。
・表は式のタイトル、裏は式を書く
・裏の式については黒で書き、理解を助けるための補助的な書き込みは青で行う
・表を見て想起するのは裏の黒部分(式の部分)のみ
・裏に情報を書き込み過ぎない
<暗記カードのサンプル>
参考書や問題集の目次を貼り付けるとクイック復習ができる
参考書や問題集の表紙に目次の縮小コピーを貼り付けると、ふとした時に目に入った目次の項目を見ながら「ここって結構あいまいにしていた分野だな」とか「ここって3日前に勉強したから今日くらいにもう一回復習しておくか」とか思えるので細目に少しずつ復習することができます。
具体的には、こんな感じの表紙を
こんな感じに改造してしまいます。
この目次貼り付け法は、このサイトの他のページに載せたところ、電験三種を勉強している方に好評の様で、「半信半疑で目次を表紙に貼り付けてみましたが、大変役に立っています。目から鱗の勉強法です。ありがとうございます。」という声が多かった勉強法です。
章ごとのコメント
電気機器
直流機/誘導電動機/同機器/変圧器の辺りは内容がよく似ているうえに一緒に解説されたりするので、違いを意識して混同しないように
勉強する必要がある
自動制御
自動制御は記号と式のパズルみたいな感覚で、とにかく記憶しなければいけない基本形をとにかく頭に入れて、出題パターンの習熟に勤めるべし
電気エネルギー利用
ポンプ/送風機/照明/光源/加熱/電池種類のようなところは実物をイメージしやすいので理解しやすいところ。この辺りは難問化しにくいところなので、しっかり勉強して本試験ではこの辺りの基本問題を丁寧に拾って点数を積み上げていきたい
情報伝達・処理
コンピュータやプログラミングのところはB問題の選択問題でしか出ないので、自分は捨てた。基本情報技術者等の資格保持者かIT系の勉強経験者でなければ、この勉強は回避したほうが無難。
2進法、8進法、10進法、16進法はとっつきにくいが、理解してパターンを習得してしまえば得点源になるので、捨てずに頑張るべし。
受験計画
年明けの1月から勉強をスタートさせます。8月上旬には仕上げるイメージで余裕を持って攻略します。
1月
・過去問分析
・フルカラーで力が付く電験第3種 機械A to Zを2周読み
2月
・フルカラーで力が付く電験第3種 機械A to Zの3周目読み。まとめノートを作りながら。
・電験三種突破演習を解き始める。
3月
・電験三種突破演習を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。
・これだけ電験三種機械1周目を読む。
4月
・これだけ電験三種機械2周目を読む。まとめノートに書いていないことが出たらまとめノートに補足していく。
5月
・電験三種突破演習2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。
・絵とき解説 電験三種演習問題集 機械を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。
6月
・絵とき解説 電験三種演習問題集 機械2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。
7月
・過去問10年分を解き始める。このとき、初見で解けた問題には鉛筆で大きくバツ印をつけて、本試験まで解かない。
・過去問10年分はどの年を解き直しても2問間違いくらいのレベルに仕上げる。
8月
・苦手分野のまとめノートを作って、苦手ではなく得点源にする。
・自分に足りないところを考えて克服する。
9月
・本試験日に最大瞬間風速を吹かせるように10日ほど前から、10日で終わるレベルの総復習を行う。
最後に
電験三種の最難関と呼ばれる機械に合格すれば、合格は見えています(最後の受験科目にして、機械の合格と同時に4科目合格となる人もたくさんいると思います。)。
電験三種を取ると食いっぱぐれがなくなると言われるほど世間一般では評価される資格なので、ぜひ頑張って取得してください。
こちらの記事も勉強の一助になると思います。
この勉強法で合格!電験三種合格体験記
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