この勉強法で合格!エネルギー管理士(エネ管)[熱]合格体験記

エネルギー管理士(エネ管)

エネルギー管理士(熱)に関する合格体験記です。試験に受かった同僚に書いてもらいましたので紹介します。

エネルギー管理士試験は電気も熱も有効期限ありの課目合格制であり、同僚は課目合格を何度も繰り返しながら足かけ4年かかって合格しました。時間がかかった要因としては、仕事や家庭のことで勉強時間が確保できなかったことや、選んだ参考書が合わなかったり、勉強法が効果的でなかったことが挙げられます。

先人が資格試験に取り組んで、うまくいかなかったことやうまくいったことというのは後進としては他山の石となり非常に値千金の情報です。

細かい情報も書いていきますので、自分の勉強に役立てて下さい。
エネルギー管理士(電気)に関する合格体験記はこちらです。
この勉強法で合格!エネルギー管理士(電気)合格体験記

まずは試験に関する基本情報です。

基本情報

試験実施団体 一般財団法人省エネルギーセンター
民間資格or国家資格 国家資格
受験資格 無し
受験料 17,000円(非課税,平成27年度実績)
開催頻度 年1回
申込時期 5月上旬~6月上旬の間で申し込み
試験時期 8月上旬
試験日程 1日(4コマ)
1限目9:00~10:20(80分)
2限目10:50~12:40(110分)
3限目14:00~15:50(110分)
4限目16:20~17:40(80分)
試験形式 択一式(マークシート)
合格基準 いずれの課目も60%
試験会場 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、富山市、大阪府、広島市、高松市、福岡市、那覇市(平成27年度実績)
難易度 ★★★★★★★★☆☆(ビルメン関連資格の中で最高難度)

試験課目

必須基礎課目
I. エネルギー総合管理及び法規(エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令、エネルギー総合管理)
選択専門課目
熱分野
II. 熱と流体の流れの基礎(熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎)
III. 燃料と燃焼(燃料及び燃焼管理、燃焼計算)
IV. 熱利用設備及びその管理(計測及び制御、熱利用設備)
電気分野
II. 電気の基礎(電気及び電子理論、自動制御及び情報処理、電気計測)
III. 電気設備及び機器(工場配電、電気機器)
IV. 電力応用(電動力応用、電気加熱、電気化学、照明、空気調和)

課目(科目)合格制度

課目別の得点が合格基準(各課目60%)に達した課目は「課目合格」となり、4課目合格すればエネルギー管理士試験合格となる。課目合格は、その試験が行われた年の初めから3年以内に受験する場合、その課目の試験が免除になり、合格した年の初めから3年を過ぎるとその課目の合格は無効となる。

合格率

年度 平成 電気分野合格率 熱分野合格率
1997 9年度(H9) 23.2% 41.2%
1998 10年度(H10) 25.8% 33.8%
1999 11年度(H11) 18.8% 33.6%
2000 12年度(H12) 24.8% 31.5%
2001 13年度(H13) 23.8% 29.0%
2002 14年度(H14) 24.7% 37.2%
2003 15年度(H15) 24.7% 40.4%
2004 16年度(H16) 32.1% 36.5%
2005 17年度(H17) 23.1% 28.2%
2006 18年度(H18) 21.1% 26.7%
2007 19年度(H19) 22.5% 27.6%
2008 20年度(H20) 15.0% 25.6%
2009 21年度(H21) 29.7% 29.4%
2010 22年度(H22) 25.4% 43.1%
2011 23年度(H23) 21.8% 18.2%
2012 24年度(H24) 16.7% 28.0%

2013年以降は電気分野、熱分野合算しての発表となっている。

年度 平成 合格率
2013 25年度(H25) 27.9%
2014 26年度(H26) 21.5%
2015 27年度(H27) 23.3%

概ね電気分野の方が合格率は低くなっています。20パーセント台の前半辺りが多いようですね。一方で熱分野はばらつきはありますが、概ね20パーセント台後半以上で推移していますね。

2013年度以降で課目ごとの合格率は発表されておらず、合算されて発表されているようですが、熱分野の方が合格率が高い状況は変わっていないのではないかと思います。

以前は熱分野で合格した場合は熱管理士、電気分野で合格した場合は電気管理士という区分があったようなのですが、今は熱分野でも電気分野でも合格すれば“エネルギ―管理士”であり、合格した後は熱や電気という区分を意識することはありません。

詳細な試験情報はECCJ(省エネルギーセンター)で確認できます

受験を決意したきっかけ

元々ビル管理会社の中で、建築設備に関する修繕工事をする部署にいました。年々高まる省エネの気運の中で省エネ工事を物件オーナーに提案する担当になったので、省エネに関する専門知識を身につける為、名刺に「エネルギー管理士」と記載してお客様のより一層の信用を得る為に受験しました。

受験当初の私のスペック

・建築設備に関する工事監督の経験8年
・持っていた資格、“第二種電気工事士”“消防設備士甲種1類2類”“1級管工事施工管理士”“空気調和・衛生工学会設備士
・高卒、高校2年・3年時の科目選択は理系を選択

受験を始める前のアドバンテージとして、設備工事の施工管理の経験があることは大きかったです。省エネ法改正の内容も受験決意前から知っていました。

アドバンテージとして一番大きかったのは、空気調和・衛生工学会設備士の資格を持っていることです。これで冷凍サイクルや熱力学の基礎は理解していました。

電気分野ではなく熱分野を選択した理由

理由は二つあります。
一つは、合格率です。過去の合格率を見ると電気の方が合格率が低く、熱の方が合格率が高かったので、熱の方が受かりやすいんだろうなという考えがありました。

もう一つは、受験を決めた時期の自分の持っていた専門知識です。設備工事を長年担当してはいたものの、電気工事に関してはあまり関わっていませんでした。主に専門は空調、給排水衛生に加えて自動制御を少々といったところでした。

電気分野のエネルギー管理士は電験2.5種といわれるくらいの難易度で、電験三種程度の高圧電気設備に関する知識が必要ということを聞いていました。そこまでの実力を身につける自信が無く、空調工事をこなしてきた自分なら熱分野の方が容易に攻略できるだろうと考えたので熱分野の受験を決めました。

一年目

この頃はまだ、鼻息荒くヤル気に満ち溢れて勉強していました。試験のボリューム自体をよくわかっていなかったので、一年で4課目受かるつもりで勉強を始めました。結構この試験を甘く見ていたところがあったので、半年ぐらいの勉強で受かるのではないかと思っていました。

勉強を始めたのが、試験6か月前の2月上旬でした。使っていた参考書類はこちら

試験実施団体である省エネルギーセンターが出している本ですね。このシリーズの本を勉強をすれば合格できると考えていましたが、思ったほど使いやすくはありませんでした。

使いやすいなと感じたのは「〈1〉エネルギー総合管理及び法規―平成25年度改正省エネ法対応版」でした。合格に必要なことが過不足なく書かれている印象でした。この本は試験直前期まで使っていました。

それ以外の<2><3><4>については、
・細かく書かれすぎている為、ボリュームが大きく、大事な箇所がぼやけているイメージ。どれが大事なのかわかりにくかった。
・簡単な理論を難しく説明し過ぎていると感じた。
・数学や物理の高度な知識を前提に説明されている箇所があって、高校数学や高校物理を忘れてしまっていた自分にはとっつきにくかった。
という印象でした。

とはいえ、試験団体が発行している本を勉強していれば合格できるはずだという認識だった為、半年かけて2回読みました。平日は仕事で、帰宅した後勉強する気にならなかったので、休みの日に勉強していました。一週間で確保していた勉強時間は8時間無いくらいです。

オヤ?と思ったのは2回読み終わった6月くらいです。わからないところが結構あって、そこは読み飛ばしながら進めていたので、あまり実力が付いていない実感がありました。過去問を解き始めたのもこの時期です。得点率は40%~60%程度でした。こんな実力で本試験は大丈夫だろうかと思ったものの、担当する設備工事が多くなってきて、勉強時間を確保できないまま本試験を迎えました。

ちなみに使用していたのはこのシリーズです。

電気書院さんの過去問題集ですね。このシリーズの過去問は、10年分掲載されており、解説がわかり易いので重宝しました。

直前期に追い込んであまり実力をつけることはできなかったのですが、言い訳をすると、直前2ヶ月くらいは夜間工事がメインの大きな現場を持っていましたので、休日に体内時計を調整しつつ勉強したものの集中力を長く保てないというコンディションでした。

実際、本試験では手ごたえを感じることはありませんでした。
1年目の結果は

I. エネルギー総合管理及び法規
II. 熱と流体の流れの基礎 ×
III. 燃料と燃焼 ×
IV. 熱利用設備及びその管理 ×

となりました。Ⅰのエネルギー総合管理と法規に関しては元々かなりの予備知識があったというのもアドバンテージとなり、合格することができました。1課目のみの合格ですが、結果が出て手ごたえを感じたのは良かったです。来年合格しようというモチベーションを持つことができました。

一年目の反省点

・試験実施団体が作成しているテキストだけに依存しすぎた。
・過去問分析が遅かった。
・過去問の反復練習が足りなかった。
2年目はこれらの反省点の改善を意識して取り組みました。

2年目

1課目合格しているので、1年目よりもボリュームが減ったのは良かったです。気持ちが少し軽くなりました。

テキストを増やした2年目

一年目の反省点を改善する為、要点がコンパクトにまとまったテキストを購入しました。

会社の同僚から勧められたものです。凄くオススメだからと言われて手に取りました。著者の不動弘幸氏は電験三種でもエネルギー管理士の電気分野でも質の高いテキストを出版しているということで紹介されました。内容については大満足で、試験直前期までこれを中心に勉強していました。私からも大変おすすめできます。

勉強を開始した時期

2年目の勉強は、4ヵ月前から始めました。一年勉強しているから・・・という気持ちがあったのだと思います。今思えば甘々の考えでしたが。

エネルギー管理士熱分野徹底研究を一周読んで、重要な公式などをカード化して覚えていきました。この暗記事項をカード化するという勉強方法は先に合格している同僚から勧められたものです。

どんな試験とも抜群に相性が良い勉強法~カード式勉強法~

また、5年分の過去問をまずマスターしました。

試験1ヶ月前の直前期に8年前の過去問を解いてみたら、7割程度解けたのでこれはいけるのではないかという手ごたえを感じました。しかし、確実に合格する為には十分な得点力と言えない為、最後の追い込みの勉強に励みました。

二年目の結果は

I. エネルギー総合管理及び法規 免除
II. 熱と流体の流れの基礎 ×
III. 燃料と燃焼
IV. 熱利用設備及びその管理

II. 熱と流体の流れの基礎が不合格となってしまいました。本試験の問題が難化した為に解けなかったのですが、勉強自体を理論の深い理解よりも暗記重視で、とりあえずパターン問題が解ければいいやというスタンスで進めていましたのでちょっとひねられたときに対応できませんでした。

またもう一年勉強しなければならないのかという深い悔しさがありましたが、もう一年頑張れば終わりという風に頭を切り替えて勉強しました。

二年目の反省点

・試験が難化したときに対応できる様な根本的な理解をしていなかった。

3年目

今まで暗記で乗り切った箇所の理解を含めたいと思って、一冊テキストを購入しました。アマゾンでわかりやすいと評判が良かったのはこちらです。

こちらをやり込みました。

3年目の勉強は3ヵ月前から始めました。1課目だけの受験だったので、3ヵ月あれば間に合うだろうと見込んでいました。

しかし、試験2ヶ月前頃から同僚が取り組んでいた数億円規模の配管更新工事を引き継ぐことになりました。既に着工している工事なのですが、同僚が病欠することになった為その代役になったのです。

正直「えっ」という気持ちだったのですが、エネルギー管理士の試験があるので、断りますとは言えません。必死の思いで工事の内容を頭に入れて、夜間工事の監督をこなしました。言い訳ですが、直前期は全く勉強できていません。

当日の試験だけはなんとか受験したものの、当然本試験はボロボロでした。
3年目の結果

I. エネルギー総合管理及び法規 免除
II. 熱と流体の流れの基礎 ×
III. 燃料と燃焼 免除
IV. 熱利用設備及びその管理 免除

しょうが無いなという気持ちはあったものの、今年合格できなかった為に初年度合格していた「I. エネルギー総合管理及び法規」の免除が無くなり、試験対象として復活しました。本当に泣きたいような気持でした。しかし、ここまで頑張ってきたのだから、もう少しだという気持ちで再度勉強を開始しました。

4年目

4年目には特に参考書を買っていません。

これらの三冊を基本に勉強し、それでもわからなかったところはインターネットでわかりやすく説明されているページを探しました。

試験対象課目数が2課目だった為、試験4か月前から勉強を始めました。
「I. エネルギー総合管理及び法規」については、元々知識があったし、初年度受験の際に合格しているので、再勉強も容易でした。

問題はやはり「II. 熱と流体の流れの基礎」でした。ここは理論的に難しいものがあるので、単なる暗記にならないように気をつけました。
(単なる暗記とならない為のまとめノートの作り方はこちら)

この勉強法で合格!エネルギー管理士(電気)合格体験記

今までの経験から、試験前に急に忙しくなることもあることがわかっていたので、試験2ヶ月前には勉強の9割を終わらせていました。実力を試す為に10年前の過去問を解いたときには、「I. エネルギー総合管理及び法規」「II. 熱と流体の流れの基礎」共に8割台の得点でしたので、手ごたえを感じました。

結局、本試験前にも急に仕事が忙しくなるようこともなく、しっかり勉強できました。
4年目本試験の結果

I. エネルギー総合管理及び法規
II. 熱と流体の流れの基礎
III. 燃料と燃焼 免除
IV. 熱利用設備及びその管理 免除

やっと合格できました。苦節4年かけて、やっとエネルギー管理士の資格を得ることができました。省エネルギーセンターのホームページで自分の合格を確認した瞬間の喜びは今でも覚えています。

自分は4年かかりましたが、毎年毎年何かしらの反省点がありました。
その反省点は誰にでも他山の石とすることができるものだと思います。
私の失敗を参考にして、皆さんは4年もかからないような早期合格を果たして欲しいと思います。

エネルギー管理士の年収

誰もが気になるエネルギー管理士の年収について触れたいと思います。私は30代後半で建築設備の修繕工事を主にする職種で、それと並行する形で省エネ診断をし、省エネにつながる設備投資をオーナー側の企業に提案する仕事をしていますが、年収については500万円強です。今回エネルギー管理士を取得したことで、今の会社で資格手当が1万円付きました。ですので、他の資格の資格手当と併せると550万円に少し近づいたかなという程度です。

しかし、私はビル管理会社の修繕工事部にいるために元々30代後半で500万円強程度の給与だったとも言えます。他の電力会社や電気保安協会や大手工場などに努めていたらもう100万円ほど高い給与も提示されたかもしれません。

実際に私の経験や他の資格、そして今回のエネルギー管理士の取得で転職サイトに登録すると600万円や650万円程度の給与を提示される可能性が高いそうです。

じゃあ、今の会社を出て転職活動をして別の会社に迎え入れてもらった方が給与は高いんじゃないかという指摘を受けそうですが、年齢も年齢ですし、次の会社の人間関係に満足できるという保証もありませんし、もうすぐ大幅な昇給もしそうですし、よほどいい条件でない限り他の会社に目移りはしない方針です。しかし、子供達も3人おり今の会社の給料に満足していないのも事実ですので、自分の希望に合う求人情報があれば積極的に応えていこうという気持ちはあります。

いずれにせよ、転職活動の軸になりそうなエネルギ管理士ーの実務経験はそんなにありませんので、このあたりの経験を積んで、オーナー側企業のオーダーに応えていけるという自信がついてから、転職活動や独立の模索を検討してみようという思いがあります。

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