エネルギー管理士(エネ管)が必要な施設をまとめてみました

法律

平成22年4月に施行された改正省エネ法により、エネルギー管理士の選任要件が変わりました。
試行されて今現在で6年半ほど経ちますが、未だに業務中に「この管理物件ってエネルギー管理士の選任が必要なんだっけ?」という質問をいろんな人から受けます。その質問を受ける度に、「まだまだこの法を理解していない人が多いんだな」と思います。

しかし、施行後〇年経ったから一般的に理解されるというような性質のものではないのかもしれません。消防法だって施行後何十年も経過していますが、業務が消防法に密接に関係しているビルメン業界の人間でも消防法を隅から隅まで理解している者は、まずいません。

そういうエネルギー管理士が必要な施設の解説は、世間一般的にもニーズがあると考えて、この下の記述で説明していきます。

エネルギー管理士が必要な施設のまとめ表

まず表から

エネルギー使用量 コークス製造業、電気供給量、
ガス供給業、熱供給業
その他の製造業、
鉱業
 左記の業種の事務所、
その他の業種
 100,000kl以上  エネルギー管理者(2人)   エネルギー管理者(4人)     エネルギー管理員(1人)
 50,000kl以上  エネルギー管理者(1人)   エネルギー管理者(3人)
20,000kl以上   エネルギー管理者(2人)
3,000kl以上   エネルギー管理者(1人)
1,500kl以上    エネルギー管理員(1人)
1,500kl未満    –

結論としては、この表の様になるのですがこれだけ見てもわからないと思いますので解説します。

<エネルギー管理者とは>
・エネルギーを消費する設備の維持 、エネルギーの使用方法の改善及び監視 、定期報告書や中長期計画の作成、主務大臣の報告徴収に関わる書類の作成 の業務を行う。
選任要件:エネルギー管理士の免状の交付を受けている者

<エネルギー管理員とは>
・上記同様の業務を行う。
選任要件:エネルギー管理員講習終了者又はエネルギー管理士免状の交付を受けている者

<klは何を表している?>
klはその施設が電気・ガソリン・重油・ガス等で年間に使用するエネルギーを、原油の単位当たり発熱量という共通の単位を用いて示したもの。(この換算行為を、原油換算という)

<klは1法人単位?1施設単位?>
エネルギ管理士やエネルギー管理員の選任は1施設単位で検討しますので、klに原油換算する単位も1施設当たりで算出します。いかがでしたでしょうか、これで少しは伝えることができたのかなと思いますが、“エネルギー管理員”という表現は①エネルギー管理員講習の講習終了者を指す場合と、②選任者がエネルギー管理者でなくともよい施設の選任者を指す場合があり、両方の使い分けができていないと混同してしまうなと思いした。

ここで、元々の質問は「この管理物件ってエネルギー管理士の選任が必要なんだっけ?」だったのを思い出しました。つまり、エネルギー管理士の必要性について尋ねているわけです。ビルメンが実務をしていて一番疑問に思うのはその点が一番多いと思います。そこで、上記のまとめ表を作り変えてみました。この表ではエネルギー管理士が要るか要らないかを強調しました。

まとめ表の作り直し

エネルギー使用量 コークス製造業、電気供給量、
ガス供給業、熱供給業
その他の製造業、
鉱業
 左記の業種の事務所、
その他の業種
 100,000kl以上  エネルギー管理(2人)   エネルギー管理(4人)     エネルギー管理又は員(1人)
 50,000kl以上  エネルギー管理(1人)   エネルギー管理(3人)
20,000kl以上   エネルギー管理(2人)
3,000kl以上   エネルギー管理(1人)
1,500kl以上    エネルギー管理又は員(1人)
1,500kl未満    –

こうして見てみるとエネルギー管理士の選任が必要なのは製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給量、熱供給業(以下製造業等5業種という)の施設で年間エネルギー消費量が原油換算で3,000kl以上の施設だけですね。

しかし、製造業等5業種以外の施設であり、エネルギー管理員の選任でよいとされる施設であっても、年間エネルギー消費量が3,000kl以上である場合、中長期計画の作成にあたってエネルギー管理士の参画が必要である為、結局多くのビルメンが関係する製造業等5業種以外の施設でも、大型商業施設や大型病院のような、年間エネルギー消費量が原油換算で3,000kl以上となる施設ではエネルギー管理士が必要とされることになります。

実際私は3,000kl以上の施設を10ほど知っていますが、いずれの施設でもエネルギー管理士のビルメンを現場に1名常駐させています。本社や支社にエネルギー管理士を1名勤務させ、複数の大型施設の中長期計画に参画させるような体制を取ることも考えられますが、そういう体制を取っている会社は今のところ聞いたことがありません。

将来的にはそういう体制を取る会社が増えるかもしれませんが、そうなったら資格保持者は大変ですね。

※上記の解説は当サイトの見解であり、実際の法規と異なる内容があっても責を負いかねます。実務の際には1次情報である法規を参照しご確認ください。

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