この勉強法で合格!消防設備士甲種1類合格体験記

消防設備士1類(甲1・乙1)

消防設備士甲種1類は、私が甲種4類に続いて2番目に取得した消防設備士資格です。この資格については、惜しくも一度合格を逃し再チャレンジして合格しましたので、そういった私の失敗を含め、これから受ける人の役に立てるように合格体験記を記したいと思います。

受検の動機

①会社で個人目標を毎年設定しなければならなかったが、ビル管理関係の大型資格はすべて取得していたので、手頃な目標としてちょうど良かった。

②会社の資格手当てや評価ポイントがつく資格種類だった。
③消防設備士甲種4類を取って火災警報器や感知器に関して詳しくなれたことで達成感と自信を感じており、4類同様にビルメン業務の中で頻繁に登場し、深い知識を求められる1類のスプリンクラーやアラーム弁周りの知識を習得したかった。

というものです。動機としては普通かなと思います。

スプリンクラーに詳しくなったら消防査察対応等でしっかりした事前準備や対応ができるかな、専門性が高められるかなという思いはありました。結構やる気に溢れていたと思います。

試験基本情報

必要性 ★★★★★★★☆☆☆
難易度 ★★★★★☆☆☆☆☆
ボリューム ★★★★★☆☆☆☆☆
主催団体 一般財団法人 消防試験研究センター
民間資格or国家資格 国家資格
受験資格 無し
受験料 甲種5,000円、乙種3,400円
(いずれも平成27年度実績)
試験場所 各都道府県にて実施 (平成27年度実績)
試験形式 択一式、解答記入方式
合格ライン 甲種特類:各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上の成績を修めた者

特類以外:筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とする。なお、試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で上記の成績を修めた方を合格とする。

合格率 甲種では20%前後、乙種では30%前後
資格手当期待 ★★★★☆☆☆☆☆☆

甲種4類の合格率が30%程度、乙種4類の合格率が40%程度でしたので、それぞれ合格率が10%低いことになります。合格率つだけ考えると4類よりもやや難しいことになりますが、合格率が20%程度あれば頑張ったら普通に頑張れば受かりそうです。

免除を利用するか否か

既に
・第二種電気工事士
・第三種電気主任技術者
・消防設備士甲種4類
を持っていたので、消防法に関する共通部分と電気に関する基礎知識に関する部分は免除申請すれば免除を受けることもできました。

しかし、これらの資格を持っているということは、免除を受けることができる分野の得点力が既にあるということでしたので、あえて免除を受けずに受験することにしました。免除をしない分野で点数を稼ぐ作戦です。

まずは試験の傾向を分析すべきが・・・

消防設備士甲種1類に限ったことではありませんが、消防設備士は試験問題の持ち帰りが禁止されている為、過去問題集というのは出版されていません。(もしどこかの出版社が出版していたらスミマセン。)

ですので、既に甲種4類を持っている慢心からか「1類もほぼ同じ形式で、同じようなレベルの問題が出るんだろう」と判断して過去問分析をしませんでした。(過去問に類似した模擬試験でも購入して分析をすればよかったのに、思えばこの最初のところで間違った方向に進んで行った感があります。)過去問分析の代わりにテキストを買ってその章末問題の確認をもって過去問分析に代えることにしました。

テキストと問題集を購入

消防設備士甲種4類で評判が良かった工藤政孝氏の著作と似たような外観であるこちら


これを購入しました。よく確認すればよかったのですが、著者が工藤政孝氏ではありません。“資格研究会KAZUNO”となっています。買った後に「あ、しまった。よく確認すれば良かった」と思いましたが、中身を見てみると工藤氏の4類の書籍のレイアウトと大きく違いは感じませんでしたので、この本と

この本で消防設備士甲種1類の試験を攻略することにしました。どちらもテキストですが、後者の本をなぜ購入したかというと、構成がスッキリしていて早く読めそうで、かつ当時amazonで“消防設備士 甲種1類”と検索したら上位に出てきており、人気があって売れていると考えられたからです。
(ちなみに、現在“消防設備士 甲種1類”と検索したら上位に出てくるおススメ本はこちらです。)
消防設備士1類、評価の高いお勧め参考書一覧

この二つの本の例題を分析して感じたことは
<筆記>
1.機械に関する基礎知識
→電験三種で勉強したことがほとんどなのでほぼ知っている。運動、動力、モーメントに関することは電験三種で勉強しなかったところだと思うが、中学の理科や高校の物理で勉強したことなので、テキストを読んでわからないということはない。点を稼ぎたいところ。
2.電気に関する基礎知識
→全部わかる。エネ管、電験三種、二種電工保持者の腕の見せ所。解説を読めばわかるけど、忘れていて解けない問題があるかもしれないので、一応テキストの例題は全部解く。
3.構造・機能及び工事または整備の方法1 機械に関する部分
→ここから1類特有の専門性の高い内容。理解できないということはなさそうなので、たんたんと勉強するのみ。
4.構造・機能及び工事または整備の方法2 電気に関する部分
→→全部わかる。エネ管、電験、二種電工保持者の腕の見せ所。解説を読めばわかるけど、忘れていて解けない問題があるかもしれないので、一応テキストの例題は全部解く。
5.規格
→1類の消火設備に関するルール的な内容。表でまとめられた数字を覚えることが結構多そうなので、カード化して覚える方針。
6.消防関係法令
→甲種1類で勉強した内容と同じなので、得点源となるところ。9割は取りたい。
<実技>
7.鑑別
→これについては機器の写真や系統の構成図を見て記憶するだけ。写真については甲種4類の様にカード化して覚えよう。
8.製図試験
→やはりここが一番難しそう。本試験で出題されるパターンを全て網羅して勉強できるかが合否のカギを握る。2つのテキストの例題でパターンを網羅できていることを望む。(実際は足りませんでした・・・)

というものでした。勉強すれば受かるものだと思っていたので、極端に難しそうという印象はありませんでした。あとは粛々と勉強するのみです。

試験まで1ヶ月半程度でしたので、短期集中の覚悟で早速勉強を始めました。

テキストを読む前に図や表のコピーを始めた

普通だったら、勉強を開始したらテキストを読み込むものだと思いますが、私の場合はいつも勉強する際にまとめノート(人によってはサブノートと呼ぶ人もいるらしい)を作っています。(しかも作り方はちょっと特殊だと思いますので、今回写真とともに解説します。)

勉強していないのにいきなりまとめるのもおかしな話ですが、今回はまとめノート作りから始めました。
私のまとめノートの特徴
①極力ボリュームを減らし、回転しやすくするため、図や表を多く取り入れる。
②極力ボリュームを減らし、回転しやすくするため、できるだけキーワード(重要語句)のみを取り入れるようにする。
③パッと見で視界に入る情報を多くするため、A4サイズのルーズリーフを用いる。
④原則としてA4のルーズリーフの一面に一つのテーマをまとめる。量が多ければ表裏の二面や、見開き、またはそれより多くになっても良い。
⑤図や表はできるだけ、A4片面の真ん中に書いたり、貼り付けたりする。理由は4方周囲の余白に補足やコメント、勉強を進めるにつれて追加で出てきた情報等を加えることができる為。
といったものです。
正直いって、このまとめノートでエネルギー管理士(電気)を業界未経験で取得し、同じ年に電験三種を理論、電力、法規と合格したので、このまとめノートには絶大な信頼を置いていました。

まとめノートのことを教えたのに、“まとめる時間がもったいないよ”と言って、ひと手間を惜しむ同僚がいましたが、そういう人に限って何度も同じ資格試験に落ちています。あいまいな理解や記憶のところがあったから落ちたのだとか・・・。そうならないために、ひと手間を惜しまずにまとめノートを作ることをお勧めします。

私の甲種1類のまとめノートはこんな感じ
甲種1類まとめノート1
甲種1類まとめノート2
甲種1類まとめノート3
甲種1類まとめノート4
試験勉強終了時にこれらの様なまとめノートができているのですが、試験勉強開始時には図や表をページの中心近くに貼り付けて(ちょっと補足を付け加えただけの)こんな感じのノートです。
甲種1類まとめノート5
甲種1類まとめノート6
全部で30ページくらいのノート(ルーズリーフ)に図や表を貼り付けました。この作業に3日ほどかかりました。

テキスト読み開始

上で紹介した


を読み始めました。既に電験三種や第二種電気工事士並びに消防設備士甲種4類を持っていたので、半分以上の内容が既知の内容であり特に突っかかることなくスイスイと読むことができました。

しかしスイスイと読めることと、試験に必要な知識を試験に使えるように整理された体系で頭に入れていることは別のことです。

流水検知装置の構造や屋内・屋外消火栓設備の系統構造等、読んだだけでは頭に入りにくかったものは自分で書いてみたり、前述のまとめノートにまとめたりして、必要な知識を体系的に頭に入れることに留意しました。

重要事項をカード化して勉強を進めた

知識を整理して頭に入れることを意識するとともに、試験できちんと想起できるレベルになるほどしっかり記憶することを意識しました。
そのときに使ったのがこちらの重要事項記憶カードです。
<表1>
img_20161202_195000
<裏1>img_20161202_195010
<表2>
img_20161202_195018-1
<裏2>
img_20161202_195025
<表3>
img_20161202_195252
<裏3>
img_20161202_195258_1
<表、複数>
img_20161202_195109
<裏、複数>
img_20161202_195131
こんな感じの重要事項暗記カードを作っていました。手間はかかりますが、反復性は非常に高いです。何回転かすると、解けるカードが出てきます。それらのカードは抜いていって、まだ頭に入っていないカードだけを繰り返すようにしていました。通勤の電車の中や会社の始業前の時間、休み時間等の細切れ時間を見つけてとにかく反復していました。

ちなみにカードは「情報カード」という名前です。Amazonだとこんな商品です。


まとめノートや暗記カードを使っている私の勉強法は仕込みにやや時間がかかりますが、回転力重視なので、いざ復習しやすい環境を作ってしまうとあっという間に実力がついてしまいます。

テキストの読み込みや暗記カードの回転、そしてまとめノート作りで勉強は一見順調に進捗しているように感じていたのですが、本試験で大きな落とし穴がありました。

まさかの本試験(1回目)

自分ではしっかり準備して本試験当日を迎えていたと感じていましたが、いざ本試験を受けてみると筆記はできたのですが、実技は鑑別と製図共に手ごたえを感じませんでした。

「見たことが無い問題パターンだけど、練習した考え方だとこういう解き方になるよなー」と半信半疑で解いていました。

解いているときに「よし、これは合っているはずだ」と思えないような出来では、合格が危ういことは今までの経験則で知っていました。

やはり実技の出来が良くなくて落ちていた

約1ヶ月後の試験結果表日に、web上の合格発表を見たのですが、案の定落ちていました。「やっぱり実技の出来が悪かったのかな~」と思っていたら、数日後に合否を知らせるはがきが届きました。

実技の出来が悪かったです。はがきには、筆記と実技(鑑別と製図は別々に記載)の点数が記載されていました。製図が2点足りませんでした。

すっごく悔しかったというか、自分のふがいなさに怒りがこみ上げてきました。しかし、不合格という事実はゆるぎないので、1日でショックから立ち直り、敗因を分析してから次の試験への勉強を始めることにしました。

敗因は実技の練習問題のレパートリー不足

不合格の要因は実技の練習問題のレパートリー不足だと思いました。



自分が教材として選んだのはこの2冊ですが、このテキスト型教材の例題だけでは問題演習としては少なかったわけです。これまで資格試験は順調に取ってきたので完全に慢心していました。

そこで、

この問題集をamazonで購入しました。理由はamazonで評価が高かったからです。また、一般財団法人日本消防設備安全センターのオンラインショップで、この「消防設備士受験直前対策 第1・2・3類」を買いました。
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この本を購入した理由は、amazonのどこかの本の書評でこれを薦めているのを目にしたからです。この本は1類、2類、3類と全てを網羅しているので分厚くて反復しづらいので、自分が弱いと感じている分野、他の本に書いていない分野をこの本で補う形で利用することにしました。

2回目の試験勉強

2回目も勉強内容は変わっていません。まとめノートに加筆しながら、重要事項暗記カードを回しつつ、テキストを読み込んで、問題集を解きました。

ただし、勉強する教材は増えているので、「1回目はこんなことも知らずに受検してたんだな~と思いながら勉強していました。」重要事項暗記カードも勉強を進めるにつれて増えていったので、試験直前には写真で
img_20161202_195342
これくらいになりました。
枚数的には70枚くらいになりました。

試験3日前から、まとめノートと暗記カードを最後にもう一周復習して試験に臨みました。

2回目の本試験

2回目の本試験は、万全を期して勉強しただけあって、筆記は9割に近い手ごたで、実技は鑑別も製図も8割は確実に取れた手ごたえでした。解答が公表されるわけではなく、自己採点ができないのでもどかしさはありましたが、いずれの科目も6割を超えた手ごたえでしたので合格発表までの間は試験のことは忘れて過ごしました。

2回目の合格発表

試験日から約1ヶ月後に2回目の合格発表がありました。web上での発表で自分の番号を確認しました。自分の番号があった時は職場であるにもかかわらず、思わずガッツポーズをしてしまいました。2回受験しただけあって、それなりにお金と時間と労力を投入したので、喜びもひとしお大きいものでした。

その日は同僚と祝勝会をあげました。翌日早速消防設備士の免許カードに、「甲種1類」を追加する為の手続きをしました。具体的には、当時「甲種4類」だけ合格の記述があった、免許カードを消防設備試験センターに送りました。数週間後に甲種1類が追加された新しい免許カードが届き、私の消防設備士甲種1類受験は終わりました。

合格してから何か変わったか

消火栓やスプリンクラーやアラーム弁について説明することができるので、それらの設備の更新工事をお客様に提案するときに役立っています。

背景の法律や基本的な考え方などを併せて説明してくれるので助かると言われたことがあります。

また、消防査察が何をどういう視点で見ているかが少しわかりましたので、査察前の事前準備にリーダーシップをとって指導することができるようになりました。

最後に

私が1度落ちているように、どんなに自分がコレと決めた問題集や参考書をきちんとマスターしても、そもそもそれらの問題集や参考書が試験範囲を網羅していなければ合格できない年があります。私の敗因は問題集・参考書代をケチってしまったことにありますので、これから受験される方はその点に十分注意してほしいと思います。

消防設備士1類、評価の高いお勧め参考書一覧
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