【合格者談】電験三種:法規の効果的な勉強法、おススメ参考書一覧

第三種電気主任技術者(電験三種)

電験三種の法規は、電験三種の科目の中でも特徴的です。
・計算問題が少ない
・法律の勉強であり、決まりを淡々と読むだけなので文章から内容がイメージしやすい
というのが特徴ではないでしょうか。

・用語穴埋め問題や正誤問題などが攻略しやすい一方、計算問題がB問題で出た時は結構な難度になる

という特徴もあるようです。

淡々と読み進めれる科目だと言えど、やはり初学者は専門用語につまづきがちなものです。理解しないまま読み進めると頭に入っていかないので、用語集を傍らに置いて参照しつつ読むこと、そしてインターネットで細目に調べて「これは良い」と思った解説ページは印刷して何度も参照することをお勧めします。

ちなみに私が何度も何度も参照した用語集はこちら。電験三種の受験を通しての私の戦友です。

法規の合格率

2012年度 法規 9.8%
2013年度 法規 19.4%
2014年度 法規 17.5%
2015年度 法規 20.0%
2016年度 法規 14.2%

ここ5年の合格率は概ね10%~20%となっているようです。合格率が平均して10パーセント台っていうのはまぁ難しめの試験です。

だけど、穴を作らずきちんと対策したら受からないレベルの試験ではありません。

旧司法試験の合格率は2~3%だったらしいので、そんなレッド―オシャンに比べればまだ易しい方です。

法規の合格ライン

電験三種試験はどの科目合格ライン(得点ボーダー)は公表としては60%(60点)です。公表としてはそうですが、実際には得点調整が行われているようですね。実際自分が合格したときも、自己採点が58とかだった人も大量に受かっていました。

法的に電気主任技術者しかできない業務がある為、毎年一定数合格させるために得点調整をしてをしているのだと推察します。

ここで大事なことは、合格ラインが実態として1~2問分緩くなっているとしても、“苦手分野を作らないんだ”という気持ちは緩めないことです。

イメージとしてはどんな年でも80点を取れるくらいの実力になることを目標としてください。

おススメ過去問題集

どんな試験でもまずは過去問分析から入るのが王道です。おすすめ過去問はこれ

左に問題、右に解答が書かれており、何度も解くのに適したレイアウトとなっています。
法規だけを受験する場合の過去問題集はこれがいいと思います。

15年分掲載されていますので、出題傾向や出題レベルなどを十分に分析できます。

私の過去問分析

過去問を見て感じた印象
・計算問題は他の科目と比べると比較的少なめ
・解答の式展開とかを見ても全く何を書いているかわからないということはない。数学力はあまり問われていないと見える
・法律に関する分野なので、イメージできないところは少ない。わからない用語を用語集で調べるやり方で攻略できそう
・計算問題はよほど凝っている難問以外はキチンと正答して、点数を拾っていくイメージ
・それ以外の文章問題もできるだけ取っていく。結局はどれだけ多くの問題演習をしたかが勝負を決めそう
・文章問題はレパートリーが多すぎる。一冊の問題集と過去問10年分のマスターでは確実に合格できるかわからない年があるかもしれない。早めに一冊の問題集と過去問10年分をマスターしてみて、出題予想問題なんかを解いてみて、得点によってはもう一冊問題集をこなす方が良さそう
・とっつきやすそうなのはよくわかったのだが、自分が解きやすく勉強しやすいということは他の人も解きやすく勉強しやすいということ。結局上位10%に確実に入れるように繰り返し反復して実力つけていくのが王道

攻略方針

基本的には苦手分野を作らない

電験の試験はどれだけ簡単な問題をきちんと解答して、点数を合格ラインまで積み上げていけるかという勝負だと思っています。

数年に1度くらいの頻度で全く手が出ないレベルの非常に難しいB問題が出るようですし、A問題でも解説を見てもわからないレベルの問題が出ることがあります。

そういうところは本試験で捨てるしかないのですが、そこを捨てると他の問題をしっかり取らないと落ちる可能性が高まります。

しっかり取らなければならない他の分野の問題レベルは易問だったのに、その分野に対して苦手意識を感じていた為に勉強を途中で放棄しており、その易問も捨てざるを得なかったみたいな最悪な結果は絶対に避けねばなりません。

理解重視、最初から暗記に逃げない

先ほども書いた様に、暗記に偏重しても応用が利かなくなるし、理解に偏重しても勉強に時間がかかりすぎてしまい、得点力がつきません。

暗記と理解のバランスが重要だと思うのですが、まずは理解することを意識してください。理解できるに越したことはないのです。勉強を進めるうえで、つまづいたら
→他の参考書や用語集で調べてみる
→ネットで調べてみる
→会社や学校で聞ける人に聞いてみる
というところまでやってみて、それでもわからなければ最低限の公式と解答パターンを身に付けて、それ以上は深入りしなくて良いと思います。

次のテーマの勉強に進んじゃって下さい。先を読み進めることで、つまづいた部分が理解できることは多々あります。

おススメ参考書

フルカラーで力が付く電験第3種 法規A to Z

初学者向けの本です。勉強を始めてすぐの頃は、まずは初学者向けにやさしく書かれた参考書を通読するのが王道の勉強法です。大学受験で例えると「○○の実況中継」の様な本ですね。これを最低2周は読みます。3周目は記憶すべき重要語句、公式、要点、表等を書き出しながら読むと良いと思います。

それが終わったら、より詳しく書かれたこちらを読みます。

電験第3種ニューこれだけシリーズ〈1〉これだけ法規

これだけというより、こんなにという本です。初学者向けの「フルカラーで力が付く電験第3種 法規A to Z」と著者が同じなのが、面白いですね。参考書を作るのが上手な人が作ると、何冊作っても名著になるようです。

おススメ問題集

まずはこちらがおススメ。

電験三種やエネルギー管理士関連で名著を連発している不動弘幸さんという方が著した問題集です。A問題対策にお勧め。この本を9割解けるくらいにマスターしたら、

へと進んで、応用段階の問題演習をするか、15年分の過去問(最低10年分)を解き始めるかして本試験レベルの対策をします。

余裕がある人はこれも一緒に勉強すると良いでしょう

正誤問題、空白問題だけを集めた問題集です。4科目どの試験に関しても私はこの本で集中的に勉強し、正誤問題、空白問題の解答力をつけてから計算問題の攻略に集中しました。結果としてはそれで正解でした。

勉強のコツ

まとめノートを作る

私はこのサイトの中で何度も言っていることなのですが、理解しにくい事項、常に忘れず頭に入れておくべき重要語句や公式等については、復習しやすいシステムを作ることが大事です。それがまとめノート作りです。

こういうと、「テキストに書いていることを何で自分で手書きするんだ。時間の無駄だし、面倒くさいよ。俺はやらない。」という意見を一定数聞きます。

私の会社の同僚もそうでした。そういう人が、一発で受かっているかというとそうでもなく、4年経っても受かっていないことを鑑みると、4年も勉強するほうが非効率ではないかと思ってしまいます。

まとめノートと言っても、教科書や参考書と同じレベルまで書き込む必要はありません。自分がページをめくったときに記憶のメンテナンスができるようにキーワードや公式、図や表を中心に簡易的に作ればそれで充分です。自分だけの受験虎の巻が作れます。

まとめノート作りのルール
ノートではなくルーズリーフで作る:後から追加しやすい様に
B5ではなくA4サイズの大きなルーズリーフを使う:一目で見える情報が多い様に
1テーマで1面又は見開きを使って2面までにまとめる:一目で関係する情報全てを見れる様に
情報を盛り込み過ぎない:参考書と同じレベルまで情報を盛り込もうとすると時間がかかるし、それだったら参考書を読めばよいということになる
図や、表、グラフを多用する:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
図や表はルーズリーフの中央部分に貼り付けて周囲に余白を設ける:追加情報を書き込みやすくする為
言葉を書き込み過ぎずキーワードで書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
理解を助ける解説も簡潔に書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に

<まとめノートサンプル>


しっかりと作り込んだらこんなページなります。でも法規に関してここまで作り込むのは結構まれなケースで、ほとんどが図や表を貼った後に少し情報を書き加える程度です。

 

これは各工事種類を図解とともに貼り付けたものですね。参考書の上では数ページにわたって掲載されていましたが、各工事種類のエッセンス(重要要素)の部分だけを抜き出して、見開き1ページにまとめると違いが一目でわかって大変頭が整理されます。

これは後で学んだ関連情報を書き込もうとして貼り付けたものですが、結局最後まで書き込むことはありませんでした。こんなページもあります。

このページの右側も結構余白がありますね。


これは見開きがこんなに開いたままです。こんなページもあるんです。でもそれでいいのだ。受かってるから。

 

特に重要な公式を忘れない工夫をする

そして併せてお勧めしたいのが暗記カード作りです。これは覚えたつもりを無くし、通勤通学時間、始業前や休み時間等の細切れ時間で覚え直しをするときに抜群に役立ちます。

暗記カード作りのルール
・一つのカード内には一つの式を書く
・表は式のタイトル、裏は式を書く
・裏の式については黒で書き、理解を助けるための補助的な書き込みは青で行う
・表を見て想起するのは裏の黒部分(式の部分)のみ
・裏に情報を書き込み過ぎない

<暗記カードのサンプル>
※写真では機械の公式で作った暗記カードを紹介しています。
表1

裏1(表の赤枠内に青枠内が対応)

表2

裏2(表の赤枠内に青枠内が対応)

表3

裏3(表の赤枠内に青枠内が対応)

どんな試験とも抜群に相性が良い勉強法~カード式勉強法~

参考書や問題集の目次を貼り付けるとクイック復習ができる

参考書や問題集の表紙に目次の縮小コピーを貼り付けると、ふとした時に目に入った目次の項目を見ながら「ここって結構あいまいにしていた分野だな」とか「ここって3日前に勉強したから今日くらいにもう一回復習しておくか」とか思えるので細目に少しずつ復習することができます。

具体的には、こんな感じの表紙を

こんな感じに改造してしまいます。

この目次貼り付け法は、このサイトの他のページに載せたところ、電験三種を勉強している方に好評の様で、「半信半疑で目次を表紙に貼り付けてみましたが、大変役に立っています。目から鱗の勉強法です。ありがとうございます。」という声が多かった勉強法です。

章ごとのコメント

電気法規

法律に関する勉強である為、難解な勉強内容ではない。参考書を何度も何度も精読しても、いざ問題を見ると“あ、そこを問われるのか!そこは意識して読んでなかったからわからないや”となりがちなので、むしろ過去問攻略から勉強して試験に出やすいところを把握してからテキストを読むという順番の方が合う人もいる。

そして、“参考書にはこう書かれていて、その出題がこういう感じなら、参考書の他のこんなところも出題されるかもしれない”という類推をしながらの勉強をするといいと思います。

電気施設管理

電力用コンデンサの必要容量、負荷特製など計算に関する学習が中心になる分野。ボリュームは大きくないので、必要な式と計算パターンはしっかり頭に入れる必要がある。

ここの対策がしっかりできているかがB問題の出来に関係してくるので、しっかりと勉強して得点源にしておく必要がある。

受験計画

年明けの1月から勉強をスタートさせます。8月上旬には仕上げるイメージで余裕を持って攻略します。

1月

・過去問分析
・フルカラーで力が付く電験第3種 法規A to Zを2周読み

2月

・フルカラーで力が付く電験第3種 法規A to Zの3周目読み。まとめノートを作りながら。
・電験三種突破演習を解き始める。

3月

・電験三種突破演習を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。
・これだけ電験三種法規1周目を読む。

4月

・これだけ電験三種法規2周目を読む。まとめノートに書いていないことが出たらまとめノートに補足していく。

5月

・電験三種突破演習2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。
・絵とき解説 電験三種演習問題集 法規を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。

6月

・絵とき解説 電験三種演習問題集 法規2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。

7月

・過去問10年分を解き始める。このとき、初見で解けた問題には鉛筆で大きくバツ印をつけて、本試験まで解かない。
・過去問10年分はどの年を解き直しても2問間違いくらいのレベルに仕上げる。

8月

・苦手分野のまとめノートを作って、苦手ではなく得点源にする。
・自分に足りないところを考えて克服する。

9月

・本試験日に最大瞬間風速を吹かせるように10日ほど前から、10日で終わるレベルの総復習を行う。

最後に

今回解説した法規、そして電力は電験三種の4科目の中では勉強しやすい分野だと思います。勉強しやすくても結局のところ上位10%程度が合格することには変わらない為、易問をしっかり取って難問もできる限り取っていくという方針に変わりはないのですが、1つ合格すると自信が付きます。“この仕上がりで1科目合格できるならば他の科目もこれくらい仕上げれば行けるはず”という感覚をつかむのが重要です。

その感覚をつかむのに法規はうってつけの科目ですので、電験の勉強の初学者は法規から始めてみるというのもありだと思います。
検討を祈ります。

こちらの記事も勉強の一助になると思います。
この勉強法で合格!電験三種合格体験記
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