電験三種の電力は4科目の中で最もとっつきやすいと思っています。その理由は勉強内容がイメージしやすいからです。理論の勉強では磁界とか位相角とか直流チョッパとか、とにかく「何のこっちゃ」と思うような専門用語が盛りだくさんでしたが、電力の場合は水路の揚程だったり、水車や水力発電所の力学だったり、送電線路にかかる荷重だったりと文章を読んでいて、何のことをいっているのかとつまづくことが、他の科目と比較するとあまりない方です。
それって結構大事なことで、参考書を読み進めるたびに手を止めて用語集やネットを調べなければいけないとなると結構勉強の進行状況に影響するもので、予定していたよりも結構勉強の進みが遅くなることが多くなり、焦りが募ります。
ちなみに私が何度も何度も参照した用語集はこちら。電験三種の受験を通しての私の戦友です。
電力の合格率
2012年度 | 電力 | 24.8% |
2013年度 | 電力 | 12.4% |
2014年度 | 電力 | 21.2% |
2015年度 | 電力 | 19.5% |
2016年度 | 電力 | 12.4% |
ここ5年の合格率は概ね12%~20%となっているようです。合格率が10パーセント台っていうのはまぁ難しめの試験です。
だけど、穴を作らずきちんと対策したら受からないレベルの試験ではありません。
旧司法試験の合格率は2~3%だったらしいので、そんなレッド―オシャンに比べればまだ易しい方です。
電力の合格ライン
電験三種試験はどの科目合格ライン(得点ボーダー)は公表としては60%(60点)です。公表としてはそうですが、実際には得点調整が行われているようですね。実際自分が合格したときも、自己採点が58とかだった人も大量に受かっていました。
法的に電気主任技術者しかできない業務がある為、毎年一定数合格させるために得点調整をしてをしているのだと推察します。
ここで大事なことは、合格ラインが実態として1~2問分緩くなっているとしても、“苦手分野を作らないんだ”という気持ちは緩めないことです。
イメージとしてはどんな年でも80点を取れるくらいの実力になることを目標としてください。
おススメ過去問題集
どんな試験でもまずは過去問分析から入るのが王道です。おすすめ過去問はこれ
左に問題、右に解答が書かれており、何度も解くのに適したレイアウトとなっています。
電力だけを受験する場合の過去問題集はこれがいいと思います。
15年分掲載されていますので、出題傾向や出題レベルなどを十分に分析できます。
私の過去問分析
・ボイラとか水路の揚程とか雷による過電圧とかイメージしやすい問題が多くある
・原子力とかランキンサイクルとか興味をそそられるテーマがあるので勉強が苦じゃないかも
・公式を知っていれば解けるいわゆる“公式問題”も結構ある
・文章問題は全て正答しようと思ったら膨大な量の過去問分析と参考書量が必要となって効率が悪そう。文章問題は8割正答を目指す
・あとは計算問題で8割正答を目指すイメージ
・とっつきやすそうなのはよくわかったのだが、自分が解きやすく勉強しやすいということは他の人も解きやすく勉強しやすいということ。結局上位10%に確実に入れるように繰り返し反復して実力つけていくのが王道
攻略方針
基本的には苦手分野を作らない
電験の試験はどれだけ簡単な問題をきちんと解答して、点数を合格ラインまで積み上げていけるかという勝負だと思っています。
数年に1度くらいの頻度で全く手が出ないレベルの非常に難しいB問題が出るようですし、A問題でも解説を見てもわからないレベルの問題が出ることがあります。
そういうところは本試験で捨てるしかないのですが、そこを捨てると他の問題をしっかり取らないと落ちる可能性が高まります。
しっかり取らなければならない他の分野の問題レベルは易問だったのに、その分野に対して苦手意識を感じていた為に勉強を途中で放棄しており、その易問も捨てざるを得なかったみたいな最悪な結果は絶対に避けねばなりません。
理解重視、最初から暗記に逃げない
先ほども書いた様に、暗記に偏重しても応用が利かなくなるし、理解に偏重しても勉強に時間がかかりすぎてしまい、得点力がつきません。
暗記と理解のバランスが重要だと思うのですが、まずは理解することを意識してください。理解できるに越したことはないのです。勉強を進めるうえで、つまづいたら
→他の参考書や用語集で調べてみる
→ネットで調べてみる
→会社や学校で聞ける人に聞いてみる
というところまでやってみて、それでもわからなければ最低限の公式と解答パターンを身に付けて、それ以上は深入りしなくて良いと思います。次のテーマの勉強に進んじゃって下さい。先を読み進めることで、つまづいた部分が理解できることは多々あります。
おススメ参考書
フルカラーで力が付く電験第3種 電力A to Z
初学者向けの本です。勉強を始めてすぐの頃は、まずは初学者向けにやさしく書かれた参考書を通読するのが王道の勉強法です。大学受験で例えると「○○の実況中継」の様な本ですね。これを最低2周は読みます。3周目は記憶すべき重要語句、公式、要点、表等を書き出しながら読むと良いと思います。
それが終わったら、より詳しく書かれたこちらを読みます。
電験第3種ニューこれだけシリーズ〈1〉これだけ電力
これだけというより、こんなにという本です。初学者向けの「フルカラーで力が付く電験第3種 電力A to Z」と著者が同じなのが、面白いですね。参考書を作るのが上手な人が作ると、何冊作っても名著になるようです。
おススメ問題集
まずはこちらがおススメ。
電験三種やエネルギー管理士関連で名著を連発している不動弘幸さんという方が著した問題集です。A問題対策にお勧め。この本を9割解けるくらいにマスターしたら、
へと進んで、応用段階の問題演習をするか、15年分の過去問(最低10年分)を解き始めるかして本試験レベルの対策します。
勉強のコツ
まとめノートを作る
私はこのサイトの中で何度も言っていることなのですが、理解しにくい事項、常に忘れず頭に入れておくべき重要語句や公式等については、復習しやすいシステムを作ることが大事です。それがまとめノート作りです。
こういうと、「テキストに書いていることを何で自分で手書きするんだ。時間の無駄だし、面倒くさいよ。俺はやらない。」という意見を一定数聞きます。
私の会社の同僚もそうでした。そういう人が、一発で受かっているかというとそうでもなく、4年経っても受かっていないことを鑑みると、4年も勉強するほうが非効率ではないかと思ってしまいます。
まとめノートと言っても、教科書や参考書と同じレベルまで書き込む必要はありません。自分がページをめくったときに記憶のメンテナンスができるようにキーワードや公式、図や表を中心に簡易的に作ればそれで充分です。自分だけの受験虎の巻が作れます。
まとめノート作りのルール・ノートではなくルーズリーフで作る:後から追加しやすい様に
・B5ではなくA4サイズの大きなルーズリーフを使う:一目で見える情報が多い様に
・1テーマで1面又は見開きを使って2面までにまとめる:一目で関係する情報全てを見れる様に
・情報を盛り込み過ぎない:参考書と同じレベルまで情報を盛り込もうとすると時間がかかるし、それだったら参考書を読めばよいということになる
・図や、表、グラフを多用する:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
・図や表はルーズリーフの中央部分に貼り付けて周囲に余白を設ける:追加情報を書き込みやすくする為
・言葉を書き込み過ぎずキーワードで書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
・理解を助ける解説も簡潔に書き込む:記憶しやすい様に、また復習の速度が上がる様に
<まとめノートサンプル>
はみ出したら、一部をノリで貼って折りたたみます
こんな感じで図や表をうまく取り入れると良いと思います。ちなみに蛍光マーカーの黄色は過去問に出ていた重要語句だったと思います。
こんな感じで、それぞれ違う参考書からコピーした図を貼り付けて組み合わせて理解力を高めるのも実力が付きます。
ケーブルについてのまとめです。これは結構自信作です。
これは、この後情報を充実させていくのかなと思っていたら、その前に本試験が来てしまいました。
でも受かったからいいやw
これも、そのうち情報をどんどん追加していくのだろうなと思って貼ったのですが、その後あまり情報を追加することはありませんでした。こういうのがあってもいいんです。だって、初学者にはそのテーマに重要論点が盛りだくさんかどうかはわからないですからね。
特に重要な公式を忘れない工夫をする
そして併せてお勧めしたいのが暗記カード作りです。これは覚えたつもりを無くし、通勤通学時間、始業前や休み時間等の細切れ時間で覚え直しをするときに抜群に役立ちます。
暗記カード作りのルール・一つのカード内には一つの式を書く
・表は式のタイトル、裏は式を書く
・裏の式については黒で書き、理解を助けるための補助的な書き込みは青で行う
・表を見て想起するのは裏の黒部分(式の部分)のみ
・裏に情報を書き込み過ぎない
参考書や問題集の目次を貼り付けるとクイック復習ができる
参考書や問題集の表紙に目次の縮小コピーを貼り付けると、ふとした時に目に入った目次の項目を見ながら「ここって結構あいまいにしていた分野だな」とか「ここって3日前に勉強したから今日くらいにもう一回復習しておくか」とか思えるので細目に少しずつ復習することができます。
具体的には、こんな感じの表紙を
こんな感じに改造してしまいます。
この目次貼り付け法は、このサイトの他のページに載せたところ、電験三種を勉強している方に好評の様で、「半信半疑で目次を表紙に貼り付けてみましたが、大変役に立っています。目から鱗の勉強法です。ありがとうございます。」という声が多かった勉強法です。
章ごとのコメント
発電
水力学の分野のベルヌーイの定理は公式の意味を理解しながら記憶すべし。電力の公式は式の意味を理解できるものが多い。調べてもどうしてもできなければ、丸暗記。
変電・送電・配電
この分野は計算問題の出題パターンはそんなに多くない。過去問10年分(できれば15年分)を分析して、似た問題を比較してみれば、一見難しそうに見えてもパターンで解けることが多いはず。
電験三種はどの分野もそうだが、図解の図やグラフも意識して記憶しておくと忘れにくい。この分野は電験三種の勉強で一番楽しかった分野。
電気材料
範囲広くないが、絶縁材料やそれらの耐熱クラスを記憶するのに工夫が必要なので、語呂合わせでも作って覚えると良い。
受験計画
年明けの1月から勉強をスタートさせます。8月上旬には仕上げるイメージで余裕を持って攻略します。
1月
・過去問分析
・フルカラーで力が付く電験第3種 電力A to Zを2周読み
2月
・フルカラーで力が付く電験第3種 電力A to Zの3周目読み。まとめノートを作りながら。
・電験三種突破演習を解き始める。
3月
・電験三種突破演習を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。
・これだけ電験三種電力1周目を読む。
4月
・これだけ電験三種電力2周目を読む。まとめノートに書いていないことが出たらまとめノートに補足していく。
5月
・電験三種突破演習2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。
・絵とき解説 電験三種演習問題集 電力を全問題最低1回は解いて、解説まで読んだ状態にする。
6月
・絵とき解説 電験三種演習問題集 電力2回目を解き始める。全問題の9割5分くらいは解ける様なレベルに仕上げる。
7月
・過去問10年分を解き始める。このとき、初見で解けた問題には鉛筆で大きくバツ印をつけて、本試験まで解かない。
・過去問10年分はどの年を解き直しても2問間違いくらいのレベルに仕上げる。
8月
・苦手分野のまとめノートを作って、苦手ではなく得点源にする。
・自分に足りないところを考えて克服する。
9月
・本試験日に最大瞬間風速を吹かせるように10日ほど前から、10日で終わるレベルの総復習を行う。
最後に
電力は、電験三種の勉強の中で一番勉強が楽しいのではないでしょうか。イメージしやすく、「なぜそれを勉強するの?」と疑問に思うことがすくなかったのを覚えています。
せっかく電気のスペシャリストになるべく勉強しているのですから楽しんで勉強して欲しいと思います。好きこそものの上手なれって言いますしね。
そして、電力は勢いに任せてしっかりと実力をつけて、確実に合格して下さい。電力に限った話ではないですが、1科目合格すると他の科目に合格するための実力レベルとかがわかるようになります。
「電力であの手ごたえ、あの実力で合格できたってことは、他の科目も同じくらい頑張れば・・・」ってな具合に思えるようになります。
それでは検討を祈ります。
こちらの記事も勉強の一助になると思います。
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