前回の記事は職業訓練校物語⑦~え、この時期に?いきなり来た有名企業からの求人~でした。
この記事では訓練校の卒業時期だけでなく、入学して1~2ヶ月経ったぐらいでもバンバン求人が来ますよ。
でも、その求人内容の魅力度は様々で今飛びついていいのか、もう少し資格を取って自分に自信をつけてから求人に飛びついたほうがいいのか、というように求人内容を吟味すべきかは結構迷いますよ。
急に来た優良求人内容の面接や筆記試験に対応する為に、日々の授業内容はきちんと聞いて、予習復習をすることによって消化していたほうがいいですよ。
という内容を書きました。
今回の内容は、第三種冷凍機械責任者(三冷、冷凍三種とも呼ばれます)についてです。空調コースのメインの目標資格はこの資格です。
この資格を取る為の勉強は4月の入学直後に始まります。この資格は試験による合格に加えて、講習を受けてその検定試験を受ければ、本試験で科目免除になる制度があります。
職業訓練校の空調コースでは、この講習を受けるプロセスでこの資格に挑んだのですが、講習制度は少し複雑ですので、まずは講習制度に関する解説をしたいと思います。
第三種冷凍機械責任者(三冷、冷凍三種)の講習制度
主催団体 | 高圧ガス保安協会 |
民間資格or国家資格 | 国家資格 |
受験資格 | 無し |
受験料 | インターネット申し込み:16,200円、書面申込み:15,700円 (いずれも平成27年度実績) |
開催頻度 | 年2回 |
申込時期 | インターネット申し込み:(1回目)5/7~5/17,(2回目)1/5~1/17 書面申込み:(1回目)5/7~5/15,(2回目)1/5~1/15 (いずれも平成27年度実績) |
開催日程 | (1回目)6/8 ~ 6/26,(2回目)2/8 ~ 2/26(いずれも平成27年度実績) |
講習期間 | 3日間 |
講習内容 | 法令:7時間、保安管理技術:14時間 |
検定試験対象 | 保安管理技術※法令は検定対象ではないが、法令を含む3日間の講義を受講しないと、検定試験自体を受検できない |
検定日 | (1回目)7/5,(2回目)3/6(いずれも平成27年度実績) |
検定内容 | 択一式問題 |
開催場所 | 全国30ヶ所程度で開催(平成27年度実績) |
受講利点 | 講習会を受講し、検定試験に合格すれば、毎年11月に実施される第三種冷凍機械責任者試験で「保安管理技術」が免除され、「法令」だけの受験とすることができる。 |
問合せ先 | 各都道府県の冷凍教育検査事務所 |
注意点 | 講習申し込み費用に使用テキスト料は含まれておらず、テキストは事前に別途購入する必要がある。講習実施団体の事務所で購入か郵送購入で入手することができる。 |
この講習会を受講して、その後の検定試験に合格すれば、本試験での「保安管理技術」が免除されて「法令」のみの受験になります。
それでは、職業訓練校で実際に4月から冷凍三種に関する授業を受けたときの体験記です。
冷凍サイクルをわかりやすく教えてもらった
訓練校に入って最初の授業はものが冷えるということはどういうことか、どういう仕組みで冷えるのかということをざっくりと教えてもらいました。
初学者には結構難しい理論だと思うのですが、図から入ったのが良かったのかもしれません。「冷凍サイクルの模式図」と「p-h線図」「モリエール線図」というものを黒板に書いて教えてくれました。
冷凍サイクルとは、冷凍サイクルの比較 気体の冷媒を圧縮機で圧縮し、凝縮器で冷却して圧力が高い液体をつくり、膨張弁で圧力を下げ、蒸発器で低温で気化させ気化熱で熱を奪い取る。
非共沸混合冷媒を利用した高効率サイクル。 気体を圧縮機で圧縮し、熱交換器で冷却した後、膨張タービンで動力回収して圧力・温度を下げ低温を得る仕組み(wikipediaより引用)
<p-h線図>
p-h線図(圧力-比エンタルピー線図)とは,縦軸に圧力p、横軸に比エンタルピーhを取った冷媒の状態変化を表す図。
<モリエール線図>
モリエール線図とは、p-h線図に実際の冷凍サイクルの状態遷移を書き込んだものをいう。
(注)p-h線図をモリエール線図と同一に見なしているwebサイトや書籍もあります。
先生は
「君たちは、自動販売機でジュースを買うとき、冷たいジュースがゴトンと音を立てて出てきますよね。
そこに君たちは手を突っ込んで取り出すわけですが、それは冷凍サイクルでいうところの蒸発器に手を突っ込んでるですよ。」
とか
「水を低いところから高いところに組み上げる仕組み(機械)をポンプと言います。ある空気から温度(熱)を取り出して、他の空気に温度(熱)を移す仕組み(機械)をヒートポンプといいます。」
等と身近な例を挙げて丁寧に説明してくれたので、凄くわかりやすかったです。
授業で本格的に学び始めた
入学式直後から、冷凍空調の教科書を元に授業のある日は毎日3時間程度第三種冷凍機械責任者の資格取得の勉強を兼ねた冷凍空調の授業が始まったのですが、内容が本格的になるにしたがってどんどん難しくなっていって、どの機器とどの機器がどういう順番で連携しているのかがわからなくなってきました。
仲の良かった梅本君(30)にちょっと聞いてみました。
「ねぇねぇ、梅本君。液戻し器とかアキュムレーターとかいろんなパーツの名前が出てきたけど、何がどう連携しているのかわからなくない?」
「synpaさんもそう思っていたんですか?実は自分もその辺りがわからなくなっていて、なんか頭の中でいろんなパーツ名称の混同を始めていて、どうしようかと思ったんですよ。どうしましょう。」
先生に相談しようかということで、放課後に職員室に行って相談してみました。
「先生、実はいろんな機器の名前や役割や連携の順序がよくわからなくなってきているのですが、その辺りをまとめたものはないでしょうか?」
「あぁ、そういえば同じような悩みを持った卒業生がいたな。その時に作ったまとめがあるはずだからあげよう」
とのやり取りの後に、先生からもらったまとめがこちらです。
凄くわかりやすくて、僕たちが求めていたのはこれだ!と思いました。
「10年くらい前に熱心な生徒がいて、彼も同じような悩みを持っていたので、彼の要望に応じてこれを作ったんだよね。
そういえば、彼は職業訓練校卒業後に、この学校にいる間に取得した第三種冷凍機械責任者の資格を持って青年海外協力隊として東南アジアに行ったなぁ。」
と、先生が昔を思い出して感慨深い表情をしていました。
休み時間に早弁はダメよ
職業訓練校では、50分の授業と10分の休憩を繰り返す時間割がある(確か)のですが、そこで驚くべき行動をとったのが福嶋君(26)でした。なんと、10分の休憩時間中にカップ麺にお湯を入れて早弁を始めたのです。
お湯は電気ポットが常設されていたのですぐに入れることができました。そして、福嶋君も食べるのが早かったので5分くらいでカップ麺を食べ終わりました。残り2分あります。時間内に終わったので、福嶋君的には問題ないと思っていたのでしょう。
しかし、教室には彼が食べたカレー味のカップラーメンの臭いが充満しており、教室に入ってきた先生が「臭いなぁ~」と言って、全ての窓を開けて空気の入れ替えをしました。そんなこんなで、10分ぐらい授業が始められなかったので、空気の入れ替えが終わった後に先生が怒りました。
「高校生じゃないんだから、昼食の休憩まで待てないのか!どうしてもおなかが減ったならおにぎりを食べい!」
と福嶋君に注意しました。おっしゃることはごもっともでございますw。
そんなことがありながら、第三種冷凍機械責任者に向けた勉強の日々が始まりました。
6月上旬には講習会を受講したのですがその辺りについてはこの記事をご覧ください。
第三種冷凍機械責任者資格 講習会体験記
職業訓練校物語⑨~第二種電気工事士の技能対策で汗だくやで~へと続く
この記事の前には
職業訓練校物語①~オラ、ビルメンに興味を持っただよ~
職業訓練校物語②~筆記試験と面接と私~
職業訓練校物語③~入学式だヨ!全員集合~
職業訓練校物語④~さっそく退校者が出るの巻~
職業訓練校物語⑤~第二種電気工事士の筆記試験はみんな合格だ!~
職業訓練校物語⑥~クラス内に一瞬現れた不調和の兆し~
職業訓練校物語⑦~え、この時期に?いきなり来た有名企業からの求人~
この次の記事の後には
職業訓練校物語⑩~第二種電気工事士の技能試験は全員合格ではなかった~
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職業訓練校物語⑫~技能祭(文化祭)があるって知ってた?~
職業訓練校物語⑬~調子に乗って三冷ではなく二冷を申し込んだら先生に激怒されるの巻~
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職業訓練校物語⑯~感動の卒業式、ありがとう!行ってて良かった職業訓練校~