第一種冷媒フロン類取扱技術者講習会、参加体験記

フロン排出抑制法

フロン排出抑制法が平成27年4月1日に施行されて、一定規模以上の空調機、冷凍機、冷蔵庫等には専門家による定期点検が義務付けられました。

その専門家の範囲の中には“冷媒フロン類取扱技術者”という資格保持者が含まれている為、自社で定期点検を実施することができるようになることを目的に講習会に参加してきましたので、参加体験記記事を書きます。

冷媒フロン類取扱技術者って何ですか?

フロン排出抑制法が要求する、機器の冷媒回路の構造や冷媒に関する知識に精通すると認定された資格者のうちの一つです。フロン排出抑制法ではそういった機器の冷媒回路の構造や冷媒に関する知識に精通した者は“十分な知見を有する”と表現されます。

ちなみにこの資格、以前は“漏えい点検資格者”と呼ばれていました。平成27年4月1日のフロン排出抑制法に時期を合わせて改正され、冷媒フロン類取扱技術者と統合されました。

十分な知見を有する者とは

基本的には冷媒フロン類取扱技術者(第一種、第二種あり)です。この資格を持っていれば、十分な知見を有する者とみなされます。
その他には以下の資格保持者であり、併せて充塡(点検)に必要な講習(環境省及び経産省が認定するものに限る)を受講した者も十分な知見を有する者として認めることになっています。
・ 冷凍空調技士(日本冷凍空調学会)
・ 高圧ガス製造保安責任者:冷凍機械(高圧ガス保安協会)
・ 上記保安責任者(冷凍機械以外)であって、第一種特定製品の製造又は管理に関
する業務に5年以上従事した者
・ 冷凍空気調和機器施工技能士(中央職業能力開発協会)
・ 高圧ガス保安協会冷凍空調施設工事事業所の保安管理者
・ 自動車電気装置整備士(対象は、自動車に搭載された第一種特定製品に限る。)(た
だし、平成20年3月以降の国土交通省検定登録試験により当該資格を取得した者、
又は平成20年3月以前に当該資格を取得し、各県電装品整備商工組合が主催するフ
ロン回収に関する講習会を受講した者に限る。)

第一種と第二種の違い

 名称   冷媒フロン類取扱技術者
  第一種 冷媒フロン類取扱技術者  第二種 冷媒フロン類取扱技術者
(日設連 「漏えい点検資格者」を移行) (新設)
業務対象  点検  回収  充填  点検  回収  充填
 ◎  ◎  ◎  ○   ◎  ○
全ての機器  全ての機器  全ての機器  一定規模以下の機器(※ 1)  全ての機器 一定規模以下の機器(※ 1)
  適用範囲       ※1 「一定規模とは」
空調機器:圧縮機電動機又は動力源エンジンの定格出力25kW
冷凍冷蔵機器:圧縮機電動機又は動力源エンジンの定格出力15kW以下の機器

第二種が機器の点検や冷媒の充填業務に対して機器の容量による制限をかけられているのに対して、第一種は全ての製品に対して点検や充填ができるようになっています。受講資格をどちらも満たしているのであれば、第一種を取得しておいたほうがいいでしょうね。空調機器で圧縮機やエンジンの定格出力が25kwを超えている機器は珍しくないですから。

というわけで、この資格に関する基本情報を整理してみます。

基本情報

 開催団体  日本冷凍空調設備工業連合会
 講習会開催場所  全国各地(詳細は日設連のHPを参照)
 講習会実施時期  1回/月~1回/4ヶ月程度?(詳細は日設連のHPを参照)
 受講資格  下記※を参照
 受講料  25,700円(税込み、テキスト料込み)
 講習会日数  1日
 修了試験の有無  有
 修了試験の内容  択一式マークシート解答方式試験
 資格有効期間 5年

※業務用冷凍空調機器の保守サービスの実務経験(3年以上)を有し、かつ、下記資格を一つ以上保有していること
①高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)一種、二種、三種
②冷凍空気調和機器施工技能士 一級・二級
③冷凍空調技士 一種・二種
④冷凍空調施設工事保安管理者 A区分、B区分、C区分
⑤その他上記資格者と同等以上の知見を有すると認められた者
ア、高圧ガス保安協会認定の冷凍装置検査員(旧)
イ、冷凍空調工事保安管理者に係わる保安確認講習修了者
ウ、高圧ガス製造保安責任者(甲種化学又は機械、乙種化学又は機械、丙種化学)でかつ業務用冷凍空調機器の製造・品質管理業務に5年以上従事した者
エ、高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械一種、二種、三種)試験合格者
オ、冷凍空調技士(一種、二種)試験合格者

試験に関する基本情報はこんな感じです。受講資格があるんですね。一番該当者が多い受験資格はエ、の高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械一種、二種、三種)試験合格者だと思います。ビルメンがこの講習会を受講しようとしたらこの「エ」を満たすから参加できるという人がほとんどだと思います。

また、業務用冷凍空調機器の保守サービスの実務経験(3年以上)を有するという実務経験条件もありますね。果たしてビルメンはこの実務経験要件に該当するのかと気になったので、講習会実施団体に問い合わせて聞きました。回答としては、ビル管理の経験も該当するということでした。なるほど。後でわかったのですが、この資格は合格者一覧を日設連のホームページで掲載しています。所属会社と名前も掲載されているのですが、大手ビルメンテナンス会社の方も結構合格者一覧に名を連ねています。皆さんも自社で点検をしようと資格を取られているんですね。

受講料は高いなーと思ったのですが、会社に申請して出してもらいました。自費だと受ける気にならない金額です。
申し込み後、講習会開催10日前頃にテキストが送られてきました。

講習内容

当日は10:00~16:40の時間帯で講習会があるとのことだったのですが、間違って9時からあると思い込んでいました。それで、初めての会場だから早めに行っておこうと考えて8:15には会場についていました。会場について初めて自分が時間を間違っていることに気づきました。まだ、受付の用意もされていませんでしたが、結構受講者らしき人をちらほら見かけました。その人たちのほとんどは9:00からはじまる第二種の方の受講者でしたが・・・。

早めに着いたので、テキストを読んだり、今日のスケジュールの確認をしたりしていました。
テキストはこんな外観です
第一種冷媒フロン講習会1
※インデックスは自分でつけました。章ごとにインデックスを付けるのが好きなので。
内容はすごくわかりやすく、色や写真や図表をふんだんに使って詳細に至るまで記載されています。この講習会のテキストにとどまらず、今後の空調不具合対応に役立ちそうな知識が盛りだくさんです。

当日のスケジュール

内容  講義時間(分)
 フルオロカーボンの地球環境問題  30
 冷媒設備に関する法令と安全衛生  30
 冷媒漏えい防止ガイドライン  30
 冷凍空調機器フルオロカーボン漏えい点検資格者規定  10
 冷凍空調機器フルオロカーボン漏えい点検・修理ガイドライン・
点検手順(間接法・直接法)・漏えい点検・修理(記録簿)・予防保全
 90
 漏えい点検ガイド(漏えい事例と対策)、漏えい点検実務(検知器の校正を含む)  35
 修了考査  60

実際の講習

講習はテキストのページ順に進められました。結構分厚いテキストですので、細かく進んでいたら一日では終わりませんので、要点を講師の方がホワイトボードで説明する形式で進められました。重要なところは「ここをマークしてよく読んでおいてください」と適宜案内されますので、きっちりと要マーク箇所を聞いておくことが大事です。

こんな感じでテキストにマーキングしていきます。
第一種冷媒フロン講習会2

普段知ることのない知識が頭に入り、へーっと感心することが多かったので、眠くはなりませんでした。
講習会参加前は、定期点検の間接法ってどこまでデータを取ればいいんだろうかと思っていましたが、講習会では具体的に結構細かな運転データも取ることを説明されていて大変参考になりました。休憩も1時間~1時間30分毎に10分程度取ってくれますので、きつくはありませんでした。

講義が終わって、修了考査を行う前に15分程度の休憩となりました。講師は「休憩時間にマーキングしたところをよく読んでおいてくださいね。」と言っていました。

修了考査

正直言って、修了考査は甘く見ていました。二冷は持っているし、今回のフロン排出抑制法に関するパンフレットや環境省のQ&Aは読み込んでいるし、たぶん大丈夫だろうと思って直前の休憩時間にはマーキングしたところを読んでいませんでした。

修了考査は4択の25問です。テキスト・教材類の持ち込みは禁止されています。全体で6割の正答で合格ということでした。

で、蓋を開けてみると「ヤバイ。一番最初のフロン排出抑制法ができた経緯や、法規に関するところが全然わからない。」と焦りました。こんな分野からも修了考査に出題されるんですね・・・。まぁ、講師が「マーキングしておいてください」と言っていたので当然なのですが。

それでもなんとか、選択肢を絞り、他の問題でも正答を重ねた手ごたえを感じましたので、受かっているんじゃないかと思います。
合格発表は約2か月後、翌年1月の予定です。

フロン排出抑制法ってこんな法律
フロン排出抑制法に関するよくある質問
第一種冷媒フロン類取扱技術者に合格して思ったこと
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フロン排出抑制法 電子報告システムの概要
フロン排出抑制法 漏えい量報告方法説明会に出席した感想

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