本当に難しい?電験三種難易度についての実際のところ

“電験三種は難しい資格”というのが世間一般の認識です。
(電験三種合格者であり、建築系の会社に勤めており、日常的に電気主任技術者と会話し、電験三種試験のことも時折話しますが今まで一度も簡単だという意見を聞いたことがありません。多分あっていると思います。)

ではどのようなことで難しいといわれるのか

試験が難しいと言われる中でもその種類は様々ですが、電験三種試験を経験したものとして挙げられるのは

  • 4科目総合のボリュームが多い
  • 高校数学程度の数学力を求められる内容もある
  • 過去問どおりの問題が少ない
  • 試験範囲が広く細かい為、試験範囲を1冊で網羅している市販の参考書が無い

といったものです。

4科目総合のボリュームが多い

電験三種の勉強はほとんどの人が仕事をしながら進めていると思いますが、仕事をしながら勉強するにしては、4科目総合のボリュームは多いほうだと思います。

特に憶えなければいけない公式が多い。全ての公式をその成り立ちも含めて理解できればいいのですが、全てを理解するのは難しいでしょう。そうなった場合、まずは理解をおいて、暗記をすることになるのですが、理解を伴わない記憶は保持するのが難しく、すぐに忘れてしまうものです。

この試験は科目別合格留保制を採用している為、科目ごとに合格できますが各科目の合格を保持できるのは翌年と翌々年の試験までです。

簡単に言うと合格した年から2年経つと合格が消えるのですから、1回で受ける科目数はできるだけ多くして1~2回の試験で4科目合格まで至ってしまいたいと思うのが通常です。

しかし、1科目のボリュームがそこそこある為、仕事をしながら4科目受験するのはかなり大変でしょう。もっと言うとその年はどの科目も仕上がりがイマイチで1科目も受からないかもしれない為、早く受かりたいがために取った4科目同時受験という戦略が、むしろ総合合格を遅れさせてしまうことになりかねません。

この様にボリュームの多さと科目別合格留保制の2年の有効期限の板挟みに苦しまざるをえないことが難しさの一つです。

高校数学程度の数学力を求められる内容もある

理論や機械科目では、理解の為に三角関数や、ベクトル、複素数等の高校分野の数学知識が必要になります。

高校時代にそれらの分野の数学について一通り学習していれば、参考書を見たときに当時の記憶がよみがえってきて「ああ、そうだったな」と学習を進めることができるかもしれません。

しかし、そうでなかった場合まずは高校数学の勉強からはじめなければなりません。理解して練習問題を解いて、自分のものとしてしまえば「こんなものか」と思えるのですが、それでも最初から勉強するとなると、小さな壁をいくつか乗り越えなければならないでしょう。

私の知人や後輩は、この数学の学び直しをしなければならないとわかった段階で、電験三種の勉強を諦めました。彼ら曰く「めんどくさかった」ということなのですが、私の感想としては「もったいないな」という気持ちでした。
今はこの様な便利な本もあります。

電験三種合格の数学 第2版

石井 理仁 日刊工業新聞社 2009-03-31
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この様にわかりやすく噛み砕かれた書籍であれば電験三種程度の数学をマスターするのに時間と労力はさほどかからない為、数学でつまづいたからといっ試験勉強自体を放棄するのは大変もったいないです。

勉強開始時の数学レベルによっては、壁を感じることがあり、その壁を越えるのに時間と労力がかかる人がいる為、数学力という参入障壁がある面で電験は難しいと言えます。

過去問どうりの問題が少ない

電験三種の過去問研究をしたことはあるでしょうか?電験の試験は他の資格試験と比べて過去問と同じパターンの問題が出る割合が低いです。計算問題であっても、文章問題であっても過去問を5年程度こなしたぐらいでは受かりにくいでしょう。

計算問題では、例えば直流機の範囲はほぼ毎年計算問題が出るのですが、昨年出た問題と、4年前に出た問題と、8年前に出た問題はパッと見必要な公式や計算の展開パターンは同じだが、各年共に出題文に微妙な条件が入っていて、初見でその条件を計算式に反映するのは大変難しいよ。と思えるようなことがよくありました。

出題側が、過去問対策だけでは高得点にならない様に工夫しているのかもしれません。(そうする意味があまりわかりませんが)

文章問題でも同様です。
電気の専門家の試験だと思っていたら、空調機を絡めたエネルギー効率(成績係数)のことに対する正誤問題が出題されたり。空調機は確かに機械だけどさ・・・、どこまで範囲広いんや!と何度も思いました。もちろんこんな内容のことは10年以内の過去問では見つけることができませんでした。

過去問対策だけでは合格点を余裕を持って上回る点数を取りにくい(取れない?)試験である為に、難易度は高い試験だと言えます。

試験範囲が広い為、試験範囲を1冊で網羅している市販の参考書が無い

よくある試験テクニックの一つに「参考書は1冊を何度も読む」「問題集は1冊を何度もやりこむ」「情報は1冊の問題集に集める」というものがありますが、電験三種は試験範囲が広い(4科目ある)、出題される問題の難易度にバラツキがあるという特徴がある為に、1冊の参考書で易しい~難しいまで網羅したものがありません(今はあるのかもしれませんが、私が勉強していた頃はありませんでした)。

1冊で完結できないので、何冊か参考書を選んで情報を寄せ集める形で合格に必要な知識を体系的に頭の中に作り上げることになりますが、その上で気を付けなければいけないのが、参考書選びです。その参考書がカバーしている範囲をきちんとわかって勉強していなければ、何冊勉強しても知識に穴ができてしますことになります。

参考書を選ぶ時には組み合わせと試験範囲の網羅度を意識しなければ、どこまで走ってもゴールに届かないマラソンを始めるようなことになってしまいます。

参考書を選ぶ目というものを求められる試験であり、このこともこの試験を難しいと言わしめている要因です。

逆に言うと、難しい点をわかった上で取り組むだけで、そうではない人に比べてアドバンテージを持っていることになるので、諦めることなく頑張って欲しいと思います。

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