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法律 省エネ法

蛍光灯実質製造中止報道のその後とパリ協定と今後の省エネ

投稿日:2016年11月21日 更新日:

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過去記事2020年に蛍光灯と白熱灯が製造中止になるというわけではないで、2020年に蛍光灯や白熱灯がが生産中止になるわけではないということについて述べました。

その記事の中で、蛍光灯や白熱灯が生産中止になるわけではないが、トップランナー制度という仕組みでは、各メーカーや販売業者等は省エネ効率の低い蛍光灯や白熱灯よりも省エネ効率の高いLEDを販売した方が目標を達成できる誘因(モチベーション)になるので、自然に蛍光灯や白熱灯の流通量は減るのではないかと述べました。

そのニュース及び記事作成時より約1年経過しましたが、今のところメーカーや販売業者から蛍光灯や白熱灯の価格を上げるといった動きは劇的にというよりもじわじわと進んでいるようです。
LED以外の照明の値上がりや廃盤が続いている

一年前に“政府方針として2020年を目途に蛍光灯の製造を実質中止にするらしい”という誤報が流れたときに、時を同じくして、COP21:Conference of the Parties(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で、世界的な地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定が採択されました。もしかしたらパリ協定の採択に向けて、この協定が採択された際には未来に向けて自国で今後何をして目標を達成するかという様に関係者が水面下の検討をしている中で、ふと漏れた話に尾ひれがついて“蛍光灯の実質製造中止”という報道になってしまったのかもしれません。

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パリ協定の発効

パリ協定の採択から一年弱の期間をもって、2016年11月4日にパリ協定が発効されました。 発行条件は「55カ国以上が批准し、批准国の温室効果ガスの排出量の合計が世界の55%になること」であり、それを満たしたことによります。

ここで、発効とはどういった行為をいうのでしょうか、このような国家間の協定や条約締結の際に出てくる用語で、採択、発効、批准、締結という言葉が出てきますが、いつもニュースや新聞で見聞きしても流していましたので、調べた限りでちょっと整理してみました。

協定と条約と議定書

・協定・・・他国家間で相互の便益を考慮し取り交わされる約束。
・条約・・・二国間以上で公開しておこなう約束で、その国の憲法より重いもの。いつでも、どこの干渉も受けず自由に破棄できることも保障されている。
・議定書・・・議定書は一般に既存の条約を補完する条約の名称として用いられる。

採択、発効、批准、締結

採択・・・ある会議の全体意見をまとめて結論付けたもの。つまり,A会議の出席者は全体意見としてこのように考えている方針提示。

批准:その代表者の行為を,その本国内で公式に認める行為。ほとんどの国ではこの作業によって,国として公式な行為であるいう裏付けをしている。

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発効:条約の内容が実際に行使されること。条約には,「効力の発効には〇カ国以上の批准が必要」などの条件項目がある。

締結:国の代表者が署名し,条約の内容に拘束される意思を表明する行為。

パリ協定の中身(要約)

全体の目的(産業革命前比、上昇温度2℃未満)

パリ協定全体の目的として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑えることが掲げられた。そして、特に気候変動に脆弱な国々への配慮から、1.5度以内に抑える努力の必要性にも言及された。

長期目標

長期目標として、今世紀後半に、世界全体の温室効果ガス排出量を、生態系が吸収できる範囲に収めるという目標が掲げられた。これは、今世紀後半に人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にはゼロにしていくという目標でもある。

5年ごとの見直し

各国は、既に国連に提出している2025年/2030年に向けての排出量削減目標を含め、2020年以降、5年ごとに貢献実績及び目標を提出し、見直していかなければならない。次のタイミングは2020年で、その際には、2025年目標を掲げている国は2030年を提出し、2030年目標を持っている国は、再度目標を検討する機会が設けられた。

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より高い目標の設定

5年ごとの目標の提出の際には、原則として、各国はそれまでの目標よりも高い目標を掲げる必要がある。

資金支援

支援を必要とする国への資金支援については、先進国が原則的に先導しつつも、途上国も(他の途上国に対して)自主的に行っていく。

損失と被害への救済

気候変動の影響に、適応しきれずに実際に「損失と被害」が発生してしまった国々への救済を行う為の国際的仕組みを整えていく。

検証の仕組み

各国の削減目標に向けた取り組み、また、他国への支援について、定期的に計測・報告し、かつ国際的な検証をしていくた為の仕組みが作られた。これは、実質的に各国の排出削減の取り組みの遵守を促す仕掛けとなる。

一見すると結構厳しい内容となっているようですが、“今後世界が気温上昇に対する抜本的かつ効力のある対策を取らなければ、地球の平均気温は2100年で最大4.8℃上昇する”という試算がある様に、世界の状況はひっ迫していますので、ここまで踏み込んだ対策をしなければならないのだと思います。

日本政府がパリ協定を批准

4日前の2016年11月4日に発効されたパリ協定に後追いする形で、日本政府が2016年11月8日にパリ協定の「受託書」を提出し、日本としてのパリ協定の批准手続きが完了しました。しかし、協定の締約国となるには国内での批准後約30日を要する為、一週間後の2016年11月15日から開催される第1回パリ協定締結国会議(CMA1)にはオブザーバー(傍観国)として参加し、議決権を行使することはできません。

一年前に採択された協定内容に対する批准が遅れて、第一回締結国会議ではオブザーバー参加となってしまったことについては、国内でも対応が遅いのではないかという指摘があったようです。誰が考えても何で?何やってたの?と思いますね。

第1回パリ協定締結国会議(CMA1)

前述のように日本はオブザーバーとして参加し、議決権を行使することはできません。異議申し立てをすることもできません。この会議では各国の削減目標や削減量の報告に関する指針などを2018年までに決める工程表を採択するとされています。日本は今後の会議で意見を述べることで中心的な役割を果たしていきたいということです。

パリ協定を批准したことによって日本の省エネ施策はどう変わるのか

いよいよ本題です。この内容が書きたくてこの記事を作ったようなものです。パリ協定ではかなりハードルの高い国としての省エネ目標が定められています。国としてこの目標を達成するためには当然として、トップダウン形式で各企業や各個人が省エネを行える流れとなるよう施策としてルールが定められるはずです。

現時点でわかっている方針としては下記のようなものがあります。

2030年までの省エネ施策

スマートメーターを活用したHEMS(Home Energy Management System)の普及

専門用語がいくつか出てきていますが、簡単に言うと家庭の電気メーターやガスメーターの機能を高め、家庭で使用するエネルギーを管理できるソフトの様なものを普及させ、PCやタブレット、スマホなどでリアルタイムで家庭のエネルギー使用状況を管理できるようにして、省エネアクションを取りやすくすることで、家庭の省エネ化を図るということです。

2030年までには新築の家屋に対してはLEDの照明をスタンダードとする新基準を導入する

蛍光灯が実質的に製造中止となるという誤報と関連するのがこちらです。実際的には製造を中止させるというより、新規に設置される場合にLED化させて証明に関する省エネを進めていくようです。

断熱性を高めた家屋を推進する

省エネ化を図るうえで、家屋の断熱性向上という施策は非常に有効です。断熱が配慮された家では夏冬の冷暖房の為にかかる費用や消費エネルギー量が全然違います。よく北海道では外は寒いが、家の中は暑い。北海道民は家の中ではTシャツ一枚ぐらいの薄着で、アイスを食べているというような例え話を聞きますが、それは本当です。

北海道に知人が戸建てを持っていて訪問する機会がありましたが、本当にそうでした。それまでは、「大袈裟な例えだなぁ」と少し思っていたのですが、ありのままではありません。本当にそうなんです。二重窓が徹底されていて、玄関には風除室の様なものがあり、出入りの際に冷気が屋内に直接入らないようにしています。ストーブの様な暖房もつけっぱなしではなく、必要な時につけるといった感じです。

一方で、九州は冬とても暖かいので暖房がいらないんじゃないかみたいに思っている人もいるらしいのですが、とんでもありません。住宅の断熱性に関してはあまり考慮されていない為、ここ10年くらいに建てられた比較的新しい家でなければ、基本的に家の中も寒いので、暖房をつけっ放しにしているか、個人で着込んで暖を取ることが多いようです。

北海道の様なレベルの断熱性の住宅が全国に広まると大変な省エネ効果が得られると思います。

電気自動車の普及

ここ5年ほどで少しづつ電気自動車が広まっています。商業施設や病院などの大きな施設を筆頭に、「え、こんな古めかしい建物にも電気自動車の充電所があるの?」と思えるような建物にも電気自動車の充電所が設置され、徐々にメジャーになっています。このまま電気自動車がさらに普及することで、二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの削減に大いに貢献できると思います。

まとめ

パリ協定で定められた日本の厳しい省エネ目標を達成する為に、政府は今後より一層具体的な法整備等の施策を実施してくると考えられます。その影響の中には蛍光灯や白熱灯の値上がりや品種減少の様にビルメンに関係が深い事柄もあるでしょうから、そういった情報に関するアンテナを張り、意識をめぐらすことでビル管理(具体的にはビルオーナー企業やPM企業への提案)に早期に取り入れていきたいと思います。

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