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ビルメンテナンス業務 工事

実例をふまえた、よくわかるA工事・甲工事、B工事・乙工事、C工事・丙工事

投稿日:2015年11月20日 更新日:

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A工事・甲工事、B工事・乙工事、C工事・丙工事って聞いたことありますか?
不動産業界、建設業界ではよく使う専門用語です。私も業界に入ったときは全く分からなくて苦労しました。会議や打ち合わせで先輩や上司、お客様、施工業者は「それはB工事ですから、合意まで時間がかかるかもしれませんね~。」等と、さらりと使っていたこの用語ですが、聞きなれないので最初は耳を疑いました。「ビイコウジ?」って感じです。

入社後の研修で教えてくれるわけでもなく、最初に下につくことになった上司も教えてくれるわけでもなく、まずは困惑と共にこれらの単語と出会いました。

建築用語(建設用語)は、類推しにくい用語が多いですので、整理して説明したいと思います。

まずは、A工事・甲工事、B工事・乙工事、C工事・丙工事を表で整理

名称 別名 費用負担 使用業者 工事実施後の資産区分
A工事 甲工事 施設オーナー 施設オーナー指定業者 施設オーナー
B工事 乙工事 テナント 施設オーナー指定業者 施設オーナ―
C工事 丙工事 テナント テナント手配業者 テナント

といったところになります。

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これだけだと何のことかわからないですよね。
ということで、表と用語の説明をします。

A工事(a工事)・甲工事の意味や定義

A工事とは・・・建築物の所有者(以下オーナーという)の資産区分にあたる、建築物の一部や建築物内の設備等について、そのオーナーの費用負担で、オーナーの指定する業者にて実施される修繕工事や資本価値向上工事であり、工事実施後の対象物の所有区分はオーナーに帰属する工事をいう。甲工事と表現されることもしばしばある。

B工事(b工事)・乙工事の意味や定義

B工事とは・・・建築物の所有者(以下オーナーという)の資産区分にあたる、建築物の一部や建築物内の設備等について、入居するテナントの費用負担で、オーナーの指定する業者にて実施される改修工事であり、工事実施後の対象物の所有区分はオーナーに帰属する工事をいう。乙工事と表現されることもしばしばある。

C工事(c工事)・丙工事意味や定義

C工事とは・・・建築物内スペースの賃借人(以下テナントという)の資産区分にあたる、賃借範囲内の物品や設備等について、そのテナントの費用負担で、テナントの指定する業者にて実施される新設工事や修繕工事やであり、工事実施後の対象物の所有区分はテナントに帰属する工事をいう。丙工事と表現されることもしばしばある。

一番これらの用語を使う、テナントの入居・退去時の事例

前テナントが退去していく際に原状回復工事をしていき、区画を借りる前の状態にしていきました。しかし、全テナントの退去時から1年が経過し、建物全体の老朽化もひどい為、床にクラックは入っているし、その区画の共用通路に面した壁面もところどころ欠けています。こういったところの建物の基本仕様の補修工事はA(甲)工事であり、オーナーが費用負担し、オーナーが指定した、オーナーがよく発注する業者が施工するわけです。その建築物(例えばオフィスビルや商業施設やホテル、病院等)を熟知している業者さんに依頼すれば、その建築物の基本仕様をよく理解していて安心ですからね。

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A(甲)工事を実施した後に、めでたくその区画に入居するテナントが決まりました。そのテナントの内装図面を見てみると、賃借区画内にさらに内壁やアコーディオンカーテンを作り、区画を細分化しています。これでは電気工事である分電盤の移設と、消防の工事であるスプリンクラーの移設と排煙口の増設が必要です。また、もともとスケルトン仕様である天井をシステム天井にするということでした。これも建築物の基本構造に手を加えるので、B(乙)工事です。テナント入居の為に、ビルの仕様に変更を加える工事は、テナントが費用負担し、オーナーが指定した、オーナーがよく発注する業者が施工するのが通常です。これをB(乙)工事と言います。

消防設備の仕様変更工事などはそのビルを熟知したオーナーの指定業者に工事してもらうのが無難です。建物を熟知しているほど、工事に付随するトラブルを防ぐことができます。

ここで注意しなければならないのは、B(乙)工事は、テナントが費用負担する為、テナントに発注してもらわなければならないということです。テナント側は、建築工事(建設工事)の発注経験があまり無いところが多く、持って行った工事の見積金額を見て、結構びっくりします。びっくりした後にこちらが全く採算が取れないレベルの値下げを依頼してきたりして結構揉めることが多いです。そういう工事がB(乙)工事です。

さらに、その区画の仕様変更のB(乙)工事が終わった後は、入居予定テナントは内装工事を手配します。内装工事自体はテナントの費用負担で、テナントが指定する業者によって施工されます。これをC(丙)工事と言います。内装工事以外にも、電話線やLANケーブル等の配線工事等もC(丙)工事です。

実際の運用にはテナント契約別に作られた工事区分表での確認を忘れずに!

これまでの説明で、どういった工事がA工事・甲工事、B工事・乙工事、C工事・丙工事にあたるかという一般的な分類はわかりました。しかし、実際に建築物内で壁や床、天井、建具といった建築関係のものや分電盤、空調、給排水衛生といった設備関係のものの損壊や不具合が起こったときにそれが、オーナー負担なのかテナント負担なのかという判定は、一般論ではできません。

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なぜかというと、各テナントごとのテナント入居契約に“工事区分表”という表があり、その区分表に〇〇の故障は甲(貸主であるオーナー)負担とか乙(借主であるテナント)負担だとか書いてあるんですね。それを確認しなければその損壊や不具合に対する本格的な処置は進められません。

例えば、テナントの専有部内へと入る廊下に面した扉がありました。その扉の下部の床面付近の面が出入りする人の靴が当たってボロボロになっていたという事案がありました。扉の化粧面がはがれかけていたので、当然すぐに処置しなければならなかったのですが、最初に対応したビルメンテナンススタッフの考えでは、「専有部内の事案だし、扉の劣化の原因はテナントの皆さんの使用状況に起因するので、テナント負担の修繕工事になって、上記の分類で行くとB工事なのではないか。」というものでした、それに対するベテランビルメンテナンススタッフの考えは「工事区分表を確認してみよう」というものでした。

PM会社のスタッフに依頼して、テナント入居契約の工事区分表を見せてもらいました。そこには、扉の修繕はオーナー負担と記載があり、上記の区分で言うとB工事ではなくA工事であり、ベテランビルメンさんお見事!というような顛末になったことがありました。教科書的な区分が必ずしも現場で通じるとは限らないということをそこで学びました。

その工事区分表のサンプルはこちら、物販店舗のバージョンです。

レイアウトや文言は必ずしもこういうものではありませんが、一般的にはこんな工事区分表をテナント賃貸借契約書の別表としてつけています。

B工事は、B1工事とB2工事に分けている会社もあります

B工事は、テナント負担で、オーナー指定業者による工事です。その中でも設計をオーナー側がするののか、テナント側がするのかでさらにB1工事、B2工事と分かれるように区分している会社もあるようです。

最初にA工事・B工事・C工事を説明するためにこんな表をお見せしました

名称 別名 費用負担 使用業者 工事実施後の資産区分
A工事 甲工事 施設オーナー 施設オーナー指定業者 施設オーナー
B工事 乙工事 テナント 施設オーナー指定業者 施設オーナ―
C工事 丙工事 テナント テナント手配業者 テナント

この表を加工すると説明しやすいのかなと思いますが、加工してみるとこうなります。

名称 別名 費用負担 設計 使用業者 工事実施後の資産区分
A工事 甲工事 施設オーナー 施設オーナー(指定業者) 施設オーナー指定業者 施設オーナー
B1工事 乙1工事 テナント 施設オーナ―(指定業者) 施設オーナー指定業者 施設オーナ―
B2工事 乙2工事 テナント テナント 施設オーナー指定業者 施設オーナ―
C工事 丙工事 テナント テナント テナント手配業者 テナント

説明としてはB1工事は、今まで説明してきたB工事と区分や考え方は同じです。テナント負担で、オーナー(指定業者)が設計をして、オーナー指定業者が施工して、施工後はオーナー資産になります。スプリンクラーヘッドの位置や、分電盤の位置などの変更工事がそれにあたります。元々ある賃貸借対象区画の素の形で消防法や建築基準法などに準拠するように作られているのですが、テナントが賃借して使用する事務所や店舗の内装のレイアウトを考慮すると、スプリンクラーや分電盤等の移設工事が必要になる為、テナント負担にて、オーナーが設計し、その施設の構造をよく知るオーナー指定業者が施工し、そして施工後はオーナー資産になります)

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特筆すべきはB2工事です。テナント負担で、テナントの設計で、オーナーの指定業者が施工し、そして施工後はオーナー資産になります。どういうものが対象になるかというと防犯の為の機械警備(赤外線による動作感知型警備設備)や有線放送の設備などが対象になったりします。それらの設備は、特に法律に準拠する必要はない為、オーナー側の設計による必要はないのですが、施設として出入り業者を統一していて、仕様を合わせたい場合などにこれらの工事がB2工事になります。

B1工事、B2工事を分けた場合の工事区分表のサンプルはこちら
物販店舗の場合

飲食店舗の場合

会計処理

A工事・甲工事

オーナー企業の経理の方で経理処理
(1)建物の価値を向上させる支出(資本的支出)の場合
建物(又は他の固定資産勘定) ×××円/ 普通預金×××円
→この後、耐用年数に基づいて毎期減価償却を実施
(2)建物の価値を向上させない修繕の場合
修繕費 ×××円/ 普通預金×××円
これはわかりやすいとおもいます。

B工事・乙工事

テナント企業の経理の方で経理処理
建物(又は他の固定資産勘定) ×××円/ 普通預金×××円
→この後、耐用年数に基づいて毎期減価償却を実施
→テナント契約解約後に除却処分
これは少しわかりにくいですね。「なんで、工事実施後はオーナー資産になるのに、テナント企業側が経理処理を実施しているの?」という疑問を持たれる方も多いと思います。工事実施後はオーナー資産となるというのは、オーナーとテナントの相互確認の表現であり、テナント契約を解約しても持っていけないよとか、勝手に改造をしてはいけませんよとかいう意味です。税務・会計的な意味ではありません。

ということで、お金を出したテナント側が経理処理を実施し、耐用年数の期間中減価償却を行い、退去するときに除却処分します。

C工事・丙工事

テナント企業の経理の方で経理処理
建物(又は他の固定資産勘定) ×××円/ 普通預金×××円
(1)建物の価値を向上させる支出(資本的支出)の場合
建物(又は他の固定資産勘定) ×××円/ 普通預金×××円
→この後、耐用年数に基づいて毎期減価償却を実施
(2)建物の価値を向上させない修繕の場合
修繕費 ×××円/ 普通預金×××円
※つまりA工事・甲工事と同じですね。

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まとめ

最後にもう一度整理した表を記載します。

名称 別名 費用負担 使用業者 工事実施後の資産区分
A工事 甲工事 施設オーナー 施設オーナー指定業者 施設オーナー
B工事 乙工事 テナント 施設オーナー指定業者 施設オーナ―
C工事 丙工事 テナント テナント手配業者 テナント

オーナーやPMがビルメンに今後実施される工事の説明をしてくるときにもこれらの用語は使われますので、「ポカーン」とした顔にならないようにこれらの用語を覚えておきましょう。

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追記
※A、B、Cという英語の表記が何かの頭文字だとかいうことはないようです。単なる区分の意味ですね。1工事、2工事、3工事というように分けて使用しても成立します。その区分表記の和製表記が甲工事、乙工事、丙工事なんだろうと思います。

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