職業訓練校物語④~さっそく退校者が出るの巻~

職業訓練校

職業訓練校物語③~入学式だヨ!全員集合~の続きになります。

4月上旬の入校式以降の話です。6月の第二種電気工事士の筆記試験、7月の第二種電気工事士の技能試験に向けて早速授業が始まります。

登校途中にクラスメイトに会った

入校式の次の日は、電車で一時間の通勤の途中で、クラスメイトの梅本君(30歳)を見かけたので、一緒に話しながら通学しました。

自分「昨日の自己紹介で、前職は何って言ってたっけ?」

梅本君「建築工事の監督っス」

自分「何でまた、空調コースっていう設備屋の勉強をするコースに入ったの?」

梅本君「自分は高卒後12年建築業界にいて、数多くの建築工事の監督をしてきたんですけど、建築工事の現場って刺青が入っているのがいたり、歯がとけてほとんど無い奴がいたり、施工図どおり施工されていないからやり直しを命じても言うこと聞かないやつが多かったりで、嫌になったんスよ。

一回でたらめな施工のやり直しを指示したときに、いうこと聞かない職人からハンマーでヘルメットを叩かれましたからね。

で、建築が嫌になったんですけど、設備業界で機械を触ることに興味あって、友達から職業訓練校でお金貰いながら一年じっくり基礎を学んだらって言われて空調コースに来たんスよ。」

自分「へー、人に歴史ありってやつだね。いろいろ経験したんだね。友達に勧められて職業訓練校に来たっていう経緯は俺と一緒だね。」

梅本君「synpaさんは、何で空調コースに来たんですか?」

自分「ブラック企業にいたり、凄く厳しい営業の世界でノルマに苦しめられて、上司に詰められすぎたせいで鬱になっちゃって一度人生をあきらめかけたんだよね。

そんなとき、ネットでビルメンっていう世界を知って、これなら今の自分にもできるかもしれないって思って、いろいろ調べたら、職業訓練校っていう施設があるのを知ってさ。

そこではビルメンに必須とされているビルメン4点セットのうち第二種電気工事士と第三種冷凍機械責任者の二つを取るカリキュラムがあるから、これにしようと思って空調コースに来たんだよ。」

みたいな会話をしていたら、職業訓練校に到着しました。梅本君とは1つしか年が離れていないから、最初から心の距離が凄く近かったです。

9時の始業時間の30分前の8:30に教室に到着しました。教室に入ったら新卒の子数人が早速第二種電気工事士の問題を出し合って勉強していました。

自分「おはよう。もう勉強しているんだ、早いねー。」

浜田君「おはようございます。僕結構電機の勉強好きなので、予習してるんですよ。」

永渕君「おはようございます。synpaさんも一緒に問題の出し合いしますか。」

自分「いや、自分はまだそんなレベルじゃないからやめとくよ。君達は一緒の高校だったのかい?」

小山君「いえ、高校は別々だったんですけど、昨日の入学式の後にマクドナルドに一緒に行って、いろいろ話してたら仲良くなったんですよ。」

自分「へー。いいね。俺がもう少し勉強してきたら、仲間に入れてよ」

皆「待ってますよ」

みたいな感じで和気あいあいとしていました。基本的に、職業訓練校の仲間は良い奴が多かったです。

中には、(他のコースの人間ですが)窃盗事件を起こすような奴もいましたが、皆これから1年の間に就職先は見つかるのだろうかという不安の中で、急きょ訪れたモラトリアム(猶予期間)の時間を楽しむ気持ちを持っていました。

水内君(18歳)なんかは、ヤンキーの風貌で、最初は誰にもガンをつけるような目つきをしていましたが、1週間もすれば皆が冗談を言いながらも一生懸命勉強しているのを見て、このクラスの柔らかい雰囲気を感じ、驚くように穏やかな顔になり、明るく冗談を言うようになりました。

新卒の子らとからんでいたら、始業の時間になり、担任の先生がやってきました。

いよいよ授業開始

先生「皆さんおはようございます。今日から第二種電気工事士を取る為の筆記の授業が始まります。まずは筆記試験に突破しなければお話になりませんので、技能の授業は筆記試験ののちの約1ヶ月に詰め込む予定にして、4月と5月は筆記試験の勉強をします。

かなりの分量を教えますので、消化不良にならないように家で復習するなどしてしっかりついてきてください。」

先生の冒頭のお話で、和気あいあいムードが引き締まりました。どんなに休み時間に楽しく過ごせても、元々この学校に来た本分を忘れてはなりません。

授業のスタイルは、テキストの1テーマの該当ページの解説をした後、先生独自のレジュメの解説を補足的に行い、同テーマの過去問の解説を行う方式でした。ちなみに使っていたテキストはこれです。


テキストのサイズが大きいので、見開きの情報量が多いし、見開きで1テーマ完結しています。また、左ページがそのテーマのテキスト無いようになっていて、右ページが問題になっているも私の好きなレイアウトです。

ビルメンになって実務をしている今だからわかるのですが、職業訓練校の教える内容は電気も空調もレベルが非常に高いです。

先生たちが長年かけて集めたテキストや問題集から珠玉の編集をしてプリント化してくれますし、過去問を解いたときにも答え合わせをして終わりではなく、関連技術基準の法規まであたって解釈してくれました。

ちなみに使っていた技術基準の法規集はこちらです。

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レベルの高い授業に感謝しつつ、毎日筆記試験の勉強を朝から夕方までびっちりと受けていたのですが、一つ問題がありました。

問題は学校ではなく私にありました。何かというと午後がすごく眠いのです。

午前中は疲労感もなく、(朝食は少ししか食べないので)満腹感もなく、授業に集中できるのですが、昼休憩で弁当を食べると午前中に凄く集中していた結果としての疲労感と、弁当を食べたことによる満腹感で授業中にいつの間にか眠ってしまうのです。(ちなみに、担任の先生も午後は眠くてすごくつらいと言っていました。)

午後に眠ってしまう問題を解決するために、昼ご飯を食べた後は10分昼寝をする。昼ごはんの弁当を減らす。という対策を取り、なんとか午後に眠ってしまう問題を解決することができました。

新卒の子訓練校辞めるってよ

悲しいことに入校して3週間後の4月下旬に一人の退校者が出ました。

津川君(18歳)です。津川君はちょっと素行が悪くて、朝の授業中から堂々と寝ていたり、学校の通学の途中に飲食や喫煙をしていたり、歩行中に飲んだジュースの紙パックを学校の周囲の塀の上に置いて帰ったりして、誰が見ても「問題があるな」という印象の子でした。

たぶん、ちょっとオラついているのがかっこいいみたいな若者特有の勘違いを引きずっていたのだろうと思います。

そんな、先生方からちょっと目を付けられていた津川君ですが、ある事件を理由に退校処分となってしまいました。

それは、学校のカリキュラムに組まれている民間の試験に申し込まなかったのです。

申し込まなかったのは空調サービスマンとしての心得、電気工事士としての心得、ビルメンテナンス員としての心得の根本となるビジネスマナーに関する簡単な民間資格で、空調コースのカリキュラムの一つとして5月末に受検することになっていたのですが、4月中旬の申込期限までに、津川君は申し込んでいなかったようです。

多分、言い訳が通ると思っていた津川君ですが、担任の先生はかたくなに“カリキュラムの一つになっている資格試験に申し込まなかったらこれ以上の授業は受けれない”として、津川君の弁明を聞きませんでした。

この時自分は第三者ながら、この職業訓練校のある意味ドライで厳しい現実を目にして肝を冷やす思いで二人のやり取りを聞いていました。

結局津川君は、翌日から登校してくることはありませんでした。職業訓練校の厳しい一面を肌で感じて、まじめに一年頑張ろうと改めて思った1件でした。

職業訓練校物語⑤~第二種電気工事士の筆記試験はみんな合格だ!~へと続く

この記事の前には
職業訓練校物語①~オラ、ビルメンに興味を持っただよ~
職業訓練校物語②~筆記試験と面接と私~
職業訓練校物語③~入学式だヨ!全員集合~
があり、この次の記事の後には
職業訓練校物語⑥~クラス内に一瞬現れた不調和の兆し~
職業訓練校物語⑦~え、この時期に?いきなり来た有名企業からの求人~
職業訓練校物語⑧~第三種冷凍機械責任者(三冷)の合格が空調コースのメイン~
職業訓練校物語⑨~第二種電気工事士の技能対策で汗だくやで~
職業訓練校物語⑩~第二種電気工事士の技能試験は全員合格ではなかった~
職業訓練校物語⑪~8月9月は灼熱の実習場での実習地獄なんじゃ~
職業訓練校物語⑫~技能祭(文化祭)があるって知ってた?~
職業訓練校物語⑬~調子に乗って三冷ではなく二冷を申し込んだら先生に激怒されるの巻~
職業訓練校物語⑭~冬休みで怒涛の勉強の日々の疲れを取ったのさ~
職業訓練校物語⑮~年が明けたら就職活動が本格化!皆の就職先は決まったのか?~
職業訓練校物語⑯~感動の卒業式、ありがとう!行ってて良かった職業訓練校~
があります。

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